2005年9月21日水曜日

「冠動脈バイパス手術」について

ゲスト/北海道大野病院附属はまや循環器クリニック 浜谷秀宏 医師

狭心症の治療方法について教えてください。

 心臓は休みなく働いている臓器で、常に多くのエネルギーを必要としています。このため、心臓の表面には冠動脈という直径2~4mmの血管が走っていて、この冠動脈により、心臓にも血液が常に供給されています。この冠動脈に動脈硬化が進行し、内側に狭い部分ができ、心臓が必要とする血液を十分に供給できなくなる病気が狭心症です。
 治療法としては、大きく三つの方法があります。一つ目は薬による治療法です。薬で症状が十分に改善されなければ、二つ目はカテーテルという細い管を使用し、冠動脈の狭い部分を風船などで広げる治療法
(PCI)があります。PCIは、技術の著しい進歩により、治療成績も飛躍的に向上しています。ただし、冠動脈の狭い部分が、広げるには困難な場所であったり、広げなければならない個所がたくさんある場合などは、三つ目の治療法の冠動脈バイパス手術という手術があります。

冠動脈バイパス手術について教えてください。

 冠動脈バイパス手術とは、冠動脈の狭くなった部分の下流に別の血管(バイパス)をつないで、血液の流れを回復させる手術です。バイパスに使用される血管としては、肋骨(ろっこつ)の裏側を走行している内胸動脈という血管や、胃の縁を走行する胃大網動脈という血管を使います。場合によっては、腕の動脈や足の静脈も使われます。バイパス血管をつなぐ部分の冠動脈は直径2~3mmですので、細かな技術を要します。そのため、冠動脈にバイパスをつないでいる間は、心臓を一時的に停止させて、心臓の代わりに人工心肺という一種のポンプで酸素を含んだ血液を全身に循環させながら手術を行います。
 ところが、ここ数年、人工心肺を使用しない、つまり心臓を停止させない状態のまま、冠動脈バイパスをつなぐことも行われるようになってきました。ポンプを使用しないので、オフポンプバイパス術あるいは心拍動下バイパス術と呼ばれています。人工心肺を使用しない分、体にはやさしい手術ですが、外科医にとっては、より熟練した技術が必要で、経験の多い信頼できる病院を選ぶことが大切です。