2004年11月24日水曜日

「白内障」について

ゲスト/大橋眼科 大橋 勉 医師

白内障の症状、治療について教えてください。

 白内障は瞳の後ろにあるレンズ(水晶体)が濁るために起きる視力障害です。若い人に見られることもありますが、40歳以上の方に多く、もっとも多いのが加齢に伴う老人性白内障です。症状としては、眼(め)のかすみ、ガスのかかったような視力低下、明るい場所で見えにくいなどの自覚症状があります。治療には主に点眼薬が投与されますが、老化現象の一つなので、最終的には手術が必要になります。

白内障の手術はどのようなものですか。

 日本で行われている白内障の手術は年間80万件、すべての眼科手術の約8割に及ぶといわれております。現在もっとも行われている手術法は、水晶体を包んでいる袋を残し、袋の中の濁りを超音波で細かくして取り除き、その袋の中に人工レンズを挿入するものです。安全性の高い手術ですが、それぞれの眼によって症状、程度、状況が違うため、同じ白内障の手術でも、手術の難易度に差があります。手術のしにくい眼としては、小さい眼や奥眼(おくめ)、角膜の濁りがある眼、袋を支えている毛様体筋が弱い眼などが挙げられます。もっとも合併症が起きやすいのは、進行して真っ白になった白内障です。進行した白内障の濁りは非常に固く、超音波で細かくすることが難しかったり、袋を支える毛様体筋が弱くなっていることが多く、このため、袋が破れて、濁りが眼の中に落下するというような合併症が起こる可能性が高くなります。
 片方の視力が良いため、もう片方の進行した白内障を放置されている方が、最近多くいらっしゃいます。進行は左右バラバラということも多いので、「片方見えるから、まだまだ大丈夫」と放っておかず、早めに検査を受け、治療することをお勧めします。白内障手術の重度の合併症としては、眼内でばい菌が繁殖し、網膜自体が機能しなくなり、失明に至るケースがあります。これは数千人に1人というごく珍しい症状です。しかし、リスクを最小限に抑えるためにも、白内障があまり進行していないうちに手術を受けることをお勧めします。

2004年11月17日水曜日

「肥満の予防」について

ゲスト/大通り内科クリニック 小森克俊 医師

日本では肥満の人が増えているそうですが。

 日本の肥満人口は確実に増加しています。男性の場合はすべての年代で、女性の場合は40代以上になると肥満率が加速度的に増えます。肥満は、高脂血症、高血圧、動脈硬化、糖尿病など、多くの疾病の原因となります。肥満に至る要因の第一は、食生活の欧米化による、栄養内容の変化です。繊維質や糖質が減り、脂肪の摂取が増えています。特に動物性の脂肪を取り過ぎる傾向にあります。日本人は、元々肥満に陥りやすい人種です。かつては、日本古来の米や野菜を中心とした食生活が肥満を防いでいましたが、食生活の変化に運動不足が加わり、肥満人口が急増しています。
 ひと口に肥満といっても、お尻や太股(もも)などを中心に脂肪がつく「皮下脂肪型肥満」と、お腹回りがでっぷり太くなる「内臓脂肪型肥満」の2種類があります。内臓脂肪型肥満は、皮下脂肪型にくらべて糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化、脂肪肝など多くの疾病を伴いやすく、より危険なタイプの肥満といえます。

肥満の有効な予防法を教えて下さい。

肥満の人の多くは、元々肥満になりやすい体質である可能性が高いのです。
  1. 両親か、どちらかが太っている
  2. 幼少期に太っていた
  3. 血縁者に糖尿病、高血圧、心臓病(狭心症含む)の人がいる
  4. 脂っぽいもの、甘いものが好き
  5. 間食、夜食、どか食いが多い
  6. 飲酒量が多い
  7. 車が足がわり(運動嫌い)

以上のことにあてはまる項目が多いほど肥満体質といえます。
肥満を予防するには、食生活に関して以下のことを心掛けます。
  1. 食事の目的を考える
  2. 食べる時間や場所を決める
  3. 今食べて良いかどうかを考える
  4. 食事の間隔を空け過ぎない
  5. 外食を減らす
  6. 寝る前2時間は食べない
  7. 砂糖・油を用いた料理を避ける
  8. 低エネルギー食品の活用
  9. 食べた物は必ず記録する
  10. ゆっくりと良く噛(か)んで食べ、量を減らす
  11. 「あと一口、もう一口」「今日は特別、これぐらいは」はやめる。
加えて、適度な運動をして、ストレスを減らします。過激なダイエットより、毎日の習慣づくりが肥満防止に有効です。

2004年11月10日水曜日

「しわの治療」について

ゲスト/緑の森皮膚科クリニック 森 尚隆 医師

眉間(みけん)や口元など、加齢とともに深くなるしわの治療は可能ですか。

 最近、しわの治療法として一般に認識され始めたのが、ヒアルロン酸、コラーゲンなどの注入です。ヒアルロン酸やコラーゲンは、もともと人体のタンパク質と結合し、細胞のすき間を埋め、肌組織の保湿に役立つ働きをします。化粧品の保湿成分としても、よく知られています。肌のハリや弾性を保つには不可欠なもので、皮膚内に注入すると体内にもとから存在する自身のヒアルロン酸やコラーゲンと融合し、皮膚に膨らみを持たせ、しわを隆起させます。体内組織への適合性も高く、注入後は自然に皮膚組織に融合します。ヒアルロン酸注入の特徴としては、しわが浅いか、中程度か、深いかによって、使用するヒアルロン酸の分子量が違うことです。注入後は少しずつ水分に変化し、体内には残留せずに消滅しますので、効果の持続のためには定期的な注入が必要になります。持続は個人差があり、6カ月~1年程度といわれています。
 コラーゲン注入に関して最近注目されているのが、ヒューマンコラーゲンです。人の皮膚から摂取した線維芽細胞を培養させたもので、従来の牛由来のものより刺激が少なく、アレルギー反応がほとんど見られないのが特徴です。

そのほか、どのような治療法がありますか。

 日本の厚生労働省にあたる、アメリカのFDA(食品医薬品局)で、ボトックスがしわを回復させる正式な治療方法として認可されました。ボツリヌス菌という人体に無害なタンパク質の一種を注入する治療法です。ボツリヌス菌は神経細胞から筋肉への情報を伝達する物質・アセチルコリンの放出を抑える作用があり、筋肉の動きを麻痺(まひ)させるため、額や眉間、目尻のしわができにくくなります。ボツリヌス菌の毒素を注射しますが、治療で使用するのは菌からできた毒素なので、人体に害はありません。この治療法は、片側顔面けいれんや眼瞼(がんけん)けいれんの対症療法にも採用されています。いずれも健康保険の適用外となるので、専門医で十分に説明を聞き、納得してから治療を受けてください。

2004年11月4日木曜日

「顎(がく)関節症」について

ゲスト/北大前矯正歯科クリニック 工藤 章修 歯科医師

顎関節症について教えてください。

 顎関節症とは、総括的な病名であって、タイプ、重症度によって、症状や治療法はさまざまです。共通する3つの兆候としては、咀嚼(そしゃく)時の顎関節や周辺の筋肉の痛み、顎(あご)を動かしたときの雑音、痛みや機能の障害によって口を大きく開けることができない、開閉が困難になる、という症状が挙げられます。この中の1つ以上が当てはまれば、顎関節症である可能性が強いのです。ただし、症状に当てはまっても、関節リウマチなど原因がはっきりしているものは、顎関節症と診断されません。日本人のおよそ10%が顎関節症であるといわれており、年代は若者からお年寄りまでさまざまです。

原因と治療方法について教えてください。

 発症のきっかけはさまざまですが、10代~30代など若い患者さんの場合、子ども時代の習慣が原因であることがあります。人工哺(ほ)乳や柔らかい食べ物を好むことによって顎の正常な生育が阻まれ、強い関節を育てることができなかったり、頬杖(ほおづえ)や指しゃぶり、うつぶせ寝、不良姿勢によって、顎関節に異常が生じることもあります。中高年に多いのは精神的なストレスによるものです。気が付かないうちに歯を食いしばってしまい、顎関節に負担がかかります。さらに不安感や多忙による疲労、不規則な食事時間や睡眠時間、短時間の食事なども大きく関係しています。また、あくびやカラオケの歌い過ぎ、硬いものを食べたことによって、突発的な顎関節症になる場合もあります。咬(か)み合わせの異常から発症する場合もありますが、咬合(こうごう)異常の人が必ずしもなるわけではありません。一般的な治療法としては、軽い症状であれば、薄いプラスチックのプレートを歯にかぶせます。投薬や湿布などの治療も有効です。重症の場合は外科的処置が必要になる場合もあります。顎関節の診断・治療は専門医の受診が必要です。かかりつけの歯科医、矯正医に相談し、顎関節外来や顎関節治療に詳しい口腔(こうくう)外科医を紹介してもらいましょう。