2019年12月18日水曜日

高位脛骨(けいこつ)骨切り術と半月板損傷の治療

ゲスト/医療法人知仁会 八木整形外科病院 薮内 康史 医師

高位脛骨骨切り術について教えてください。
 中高年になると膝に痛みを感じる人が増えてきます。その多くは変形性膝関節症によるものです。膝の関節軟骨がすり減り、関節内に炎症が起きたり、関節が変形したりして痛みが生じます。膝への衝撃を吸収するクッション役の半月板が切れたり、裂けたりする半月板損傷を伴っているケースも多いです。症状が進むと、歩けば膝が痛く、正座や階段の上り下りが難しくなります。さらに症状が進むと膝が変形し、歩行困難など日常生活に支障を来します。
 治療としては、薬(消炎鎮痛剤や関節内注射など)やリハビリ、装具(膝装具や足底板など)による保存治療がまず行われます。保存治療で痛みが軽減されず、日常生活や仕事に不便を感じるようであれば、手術が考慮されます。手術は、一般的には症状が軽度〜中程度であれば高位脛骨骨切り術が、高度であれば人工関節置換術が行われます。
 変形性膝関節症では、多くの人が膝の内側の軟骨がすり減り、徐々にO脚となり、さらに膝の内側に負担が偏ります。高位脛骨骨切り術は、自分の脛(すね)の骨を切ることでO脚を矯正し、膝の外側へと負担を分散させる手術です。いくつか術式がありますが、最近では、膝の内側から骨を切って広げ、時間とともに本物の骨に置き換わる人工骨を挿入し、金属のプレートで固定する方法が多くなっています。半月板損傷を伴っている場合は、関節鏡を使って断裂した半月板を切除したり縫合をします。関節内全体をクリーニングしたり、必要に応じて軟骨移植もあわせて行うこともあります。

高位脛骨骨切り術の利点について教えてください。
 最大の利点は、自分の関節を温存することができるので、比較的侵襲(心身に及ぼす影響)が少なく、他の手術方法と比較して術後の日常生活に対する制限が少ないことです。回復すれば、ゴルフ、テニス、ジョギングといったスポーツや農作業などの肉体労働の仕事も可能ですし、正座も引き続きできることが多いです。
 術後に運動や体を動かす仕事、旅行などを積極的にしたいといった患者さんは高位脛骨骨切り術を受けるのに適しているといえるでしょう。また、人工関節は技術の進歩とともに耐久性は向上していますが、その寿命は一般的に20年程度と考えられていますので、若い患者さんにも高位脛骨骨切り術が勧められます。