2019年6月5日水曜日

難治性ぜんそく

ゲスト/白石内科クリニック 干野 英明 院長

難治性のぜんそくについて教えてください。
 ぜんそくはせきや喘鳴(ぜんめい)、発作性の呼吸困難などを特徴とする気道の慢性炎症性疾患です。原因は遺伝的素因やアレルギー、感染などさまざまです。ぜんそくの有病率は6〜10%とされており、そのほとんどは標準的な薬によってコントロールできます。しかし、複数の長期管理薬を使ってもコントロールの難しい、いわゆる「難治性ぜんそく」の患者さんは、ぜんそく全体の5〜10%を占めています。
 難治性につながる因子の一つが「肥満」です。肥満があるとぜんそくになりやすく、ぜんそくの人が肥満になると症状が重症化しやすく、薬が効きにくいという特徴があります。そのため、治療ととともに減量指導が重要になります。
 「副鼻腔炎」を合併したぜんそくも難治性になりやすく、両疾患を総合的に治療することが重要です。特に、白血球の中の好酸球が関与するタイプの副鼻腔炎は、難治性のぜんそくを合併しやすいといわれています。
 「アスピリン不耐症」も因子の一つです。アスピリンぜんそくともいわれており、アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬を服用後にぜんそく発作などを起こすもので、成人ぜんそくの約10%にみられます。好酸球性の鼻ポリープを合併しやすく、それに対する治療も必要となります。
 そのほか、喫煙、受動喫煙、ペットなどの持続的なアレルゲンの暴露、PM2.5などの大気汚染も難治性につながる因子として挙げられます。

難治性ぜんそくの治療について教えてください。
 ぜんそくの治療は「吸入ステロイド薬」から開始し、重症度に応じて「ロイコトリエン受容体拮抗薬」「テオフィリン徐放製剤」「長時間作用性β2刺激薬」、「長時間作用性抗コリン薬」などを追加し、組み合わせて使います。
 近年、症状悪化の原因となる分子を選択的に阻害する「分子標的薬」と呼ばれる薬剤の開発が進んでいます。分子標的薬は作用が強力で副作用が少なく、難治性の場合に使用される全身ステロイド薬を減量または中止できる可能性があります。ただし、ぜんそくにはいくつかのタイプがあり、分子標的薬はすべての難治性ぜんそくに有効とは限りません。また、非常に高額であり、適応を見極めた上で投与する必要があります。1カ月に1〜2回の皮下注射をし、数カ月から1年位を目安に効果の判定をして、その後も継続するかどうかを決めます。