2020年9月9日水曜日

ランナーの股関節周辺の痛み(グロインペイン症候群とぬけぬけ病)

ゲスト/医療法人社団 二樹会 足立外科・整形外科クリニック 加谷 光規 副院長

ランナーによくみられる股関節周辺の痛みについて教えてください。

 ランニングブームが続いています。ランナー人口が増えている一方で、ランニングによるスポーツ障害が原因で走ることをやめる人も少なくありません。ひざやかかとの痛みもそうですが、股関節周辺の痛み・違和感に悩まされるランナーは多いです。一定の距離を走ると、脚の付け根や腹筋が痛くなってくる場合は「グロインペイン症候群」が疑われます。

 サッカー界でよく知られる症例ですが、ランナーにも多発します。股関節周囲の筋肉に負担のかかる走り方をしているため、それらの筋肉に疲労がたまって攣縮(れんしゅく)するのが主な原因かも知れません。

 もう一つ、走っているとおしりや太ももの裏側が痛くなったり、足に力が入らず真っ直ぐ走れなくなったりする症状がみられると、「ぬけぬけ病」の可能性があります。箱根駅伝で途中で走れなくなった選手がぬけぬけ病と指摘されるなど、病気の認知も進んできましたが、まだはっきりとした原因は明らかになっていません。これもグロインペイン症候群の一種で、梨状筋というおしりの筋肉が攣縮して神経の働きが障害されて起こるのではないかと考える向きもあります。

股関節周辺の痛みに対する治療について教えてください。

 病態がさまざまで、診断が難しいケースが多いですが、痛みがある箇所だけを治療するのではなく、全身を診て、正しい姿勢を身に付けたり、股関節付近への負担を減らしたりするなど、痛みの原因となっている根本の部分を治していく必要があります。

 注射療法とリハビリを組み合わせることで、完全に痛みが取れるケースも少なくありません。リハビリでは、筋のマッサージや筋力訓練、上肢から体幹、下肢を効果的に連動させる運動などを行います。

 早期に発見・治療できれば、それだけ早く、簡単な治療で症状を治すことができます。また、スポーツを続けながらの治療も、早期であればあるほど可能なケースが多くなります。画像診断をしても原因のはっきりしない股関節の痛みや、何らかの治療を受けているのに慢性的な痛みが取れず、悩んでいる方は一度診療することをおすすめ致します。