2020年2月12日水曜日

矯正歯科におけるデジタル化技術の進展

ゲスト/E-line矯正歯科 上野 拓郎 院長

近年、矯正歯科分野でもデジタル化が進んでいると聞きますが、どのようなものがありますか。
 ここ数年、矯正歯科治療はデジタル技術によって急速に進化しています。
 一つは、被ばく量が少なく、より鮮明な画像が得られる「デジタルレントゲン」の普及と、口腔内を立体(3D)画像で診断できる「歯科用CT」の登場です。歯科用CTを用いた検査では、歯やあごの骨の位置だけでなく、厚さや密度、かみ合わせのほか、目には見えない歯根や埋伏歯の位置なども詳細に把握できるようになりました。
 もう一つは「口腔内3Dスキャナー」です。治療に必要な歯型を取る際、従来はガムのように軟らかく口の中で固まる<印象材>を使いますが、その味やにおいに不快感を持つ患者さんも少なくありません。また、口を一定の時間開け続けなければならず、吐き気をもよおす患者さんもいます。そのようなストレスや苦痛、負担を感じることなく、簡単に歯型を取れる最新機器が口腔内3Dスキャナーです。スティック状の装置を口に入れ、歯を2、3周なぞるだけで、口腔内を精確に撮影・計測し、時間にして数分で歯型の精細なデータを取ることができます。装置は光学カメラのため被ばくの心配がなく、撮影された画像はデジタルデータとしてモニターに再現されます。
 歯科用CTや口腔内3Dスキャナーで得た画像は、それぞれのデータをリンクさせることで、一人一人の歯並びをさまざまな側面から診断できるので、より患者さんの口腔状態に適した理想的な治療計画を立てられます。効率的な歯の動かし方を計画できるので、ワイヤーを使った矯正方法でも、マウスピースを使った矯正方法でも、結果として、少ない通院回数、短い施術期間で、歯に必要以上の負担をかけない安全に配慮した治療が可能になりました。
 画像データのデジタル化により、口腔外科や歯科技工所と必要なデータを共有できることも大きなメリットです。治療の連携がスムーズに行えますし、取得した歯型のデータなどをそのまま歯科技工所で利用するため、手作業の誤差を排し、技工物の精度にも貢献しています。
 「3Dプリンター」を使って矯正治療に必要な器具を成形する取り組みも始まっています。今後、矯正歯科治療のIT化、デジタル化はさらに発展していくはずです。最新のデジタル技術で得られる情報を読み解き、的確に治療に結び付けられるよう知識と技術の研さんを続け、より高品質で患者さんの満足度の高い矯正治療の提供を目指すべきです。