2020年1月22日水曜日

股関節の関節外クリーニング手術

ゲスト/医療法人社団 二樹会 足立外科・整形外科クリニック 加谷 光規 副院長

股関節が痛くなる原因を教えてください。
 股関節に痛みを引き起こす病気は、股関節周囲炎やアスリートの股関節痛、変形性股関節症などが知られています。
 「五十股」とも呼ばれる股関節周囲炎は、股関節の使い過ぎなどで股の付け根に痛みを発症する病気です。痛みで受診しても、レントゲン検査では異常が発見されないことも多く、薬物療法やリハビリを行っても改善しないケースも少なくありません。アスリートの股関節痛は、サッカーや野球、バドミントンなど足を使うスポーツ選手に多いです。股関節の前面から大腿骨にかけて、膝を伸ばす大腿直筋という筋肉がついているのですが、この筋肉の股関節側の付着部の損傷が痛みの原因です。変形性股関節は、何らかの要因により股関節が変性し痛みを発症する病気です。大部分が骨盤の臼蓋(きゅうがい)の形成不全が原因です。
 股関節の痛みに対する治療には、痛みを緩和しながら日常生活を問題なく送るための手助けを行う保存的治療と、手術を行って痛みの原因を根本的に取り除く外科的治療があります。手術にもいくつか種類がありますが、新しい治療法として注目されているのが股関節鏡を用いた「関節外クリーニング手術」です。

股関節の関節外クリーニング手術について教えてください。
 関節外クリーニング手術は、1センチの創を2〜3カ所作り、そこから内視鏡を挿入して筋肉と筋肉の癒着や炎症などを取り除き、股関節の痛みを改善する治療法です。骨を削るなどの治療を必要としないので、入院期間は3日程度で済み、おおむね10日〜2週間で社会復帰が可能です。
 治療の対象となるのは、股関節周囲炎や運動に伴う股関節痛です。レントゲン画像で異常はないものの股関節痛があり、薬やリハビリではなかなか改善しないといった症例の約半数に適用となります。また、変形性関節症の中にも関節外クリーニング手術だけで改善する例もあるので、病状を見極めた上で治療法を決定することが重要です。
 股関節の痛みは、理学療法士による徒手的なリハビリで治るケースも少なくありません。さらに、術前に徒手的リハビリを実施することで、関節外クリーニング手術を行いやすくしたり、また術後に徒手的リハビリを行って回復を早めたりするなど、手術と組み合わせる治療も有効なケースが多いことが分かっています。