2019年10月16日水曜日

感染性腸炎

ゲスト/佐野内科医院 佐野 公昭 院長

感染性腸炎とはどのような病気ですか。
 感染性腸炎とは細菌やウイルス、寄生虫などの病原体が腸に感染してさまざまな消化器症状を引き起こす病気です。多くは食品や飲料水を通して経口的に病原体が体内に入ります。そのほか、病原体が付着した手で口に触れることによる感染、感染者の吐しゃ物や便の処理時の感染などがあります。
 病原体として、細菌ではカンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオなどがあり、ウイルスではノロウイルスやロタウイルス、そのほか寄生虫では赤痢アメーバやランブル鞭毛(べんもう)虫などがあります。病原体によって食物や潜伏期間(感染してから発症するまでの時間)に一定の関係性があり、たとえばカンピロバクターでは鶏肉、サルモネラでは鶏卵、腸炎ビブリオでは魚介類、ノロウイルスは牡蠣などの二枚貝が主な感染の原因となります。
 一般的な症状としては、発熱を伴った下痢、腹痛、吐き気・嘔吐などです。ウイルス性では吐き気や嘔吐症状が強いのが特徴で、発熱はあっても38℃以下の場合が多いです。感染性腸炎は数日で治ることが多いのですが、病原体の種類によっては下痢が長引いたり、下血・血便を伴うなど重症化する場合もあります。病状や患者さんの様子により、必要な対応が変わってくるので、注意が必要です。

診断と治療について教えてください。
 診断には問診が大切です。症状とその発現時期、いつ頃、どのようなものを食べたか、同じような症状の人はいないか、最近の旅行歴などを聞くこともあります。比較的潜伏期間の長いカンピロバクター(2〜10日)、腸管出血大腸菌(4〜8日)などでは患者さんが何を食べたのか覚えていない場合があり、診断が難しくなることもあります。
 治療法は症状に応じた対症療法が中心です。腸内環境を回復させるために整腸剤、乳酸菌製剤を用いながら、病原体の種類や患者さんの状態によって、制吐薬(吐き気止め)、抗菌薬の投与を考えます。下痢や嘔吐、発熱などのために脱水症状にならないよう、経口補水液やスポーツドリンクなどでの水分補給が大切です。ペットボトルから直接飲むのではなく、常温にして少しずつコップに注いで飲むのがポイントです。嘔吐などのため自分で摂取できない場合には補液(点滴)を行うこともあります。うつらない・うつさないための対策も重要です。お手洗いや食事の前には手洗いを徹底してください。また、下痢や嘔吐が続く間は、集団生活をできるだけ避け、調理などの食品を取り扱う作業は控えること。そのほか、トイレはふたを閉めてから流す、タオルの共有を避ける、といった配慮も望まれます。