2019年9月25日水曜日

胆石症

ゲスト/福住内科クリニック 佐藤 康裕 院長

胆石症とはどのような病気ですか。
 肝臓で作られる胆汁は脂肪の吸収を助ける消化液で、肝臓から胆管を通って十二指腸に排出されます。胆管の途中に胆のうという袋状の臓器があり、胆汁を一時蓄え食事を取ると収縮して放出します。この胆汁の通り道にできた石を総称して「胆石」といい、胆のうの石を「胆のう結石」、胆管の石を「胆管結石」と呼んでいます。
 胆石の大きさは砂状のものから3cmを超えるものもあり、個数も1個から何十個以上までさまざまです。胆石の約80%は胆のう結石で、胆のうは7〜9cmもあるため、この中を自由に動けるときにはほぼ無症状です。しかし、細くなっている胆のうの出口や胆管に詰まってしまうと症状が出ます。
 胆石は肥満やコレステロールの多い食事、さらに急激なダイエットも誘因になるといわれています。日本では高齢化や食事の欧米化によって増加傾向にあり、成人の約10%が胆石を持っています。

胆石症の検査や治療について教えてください。
 胆石で胆のう炎や胆管炎を起こすと、みぞおちから右上腹部の痛みや発熱、黄疸などが出ます。お年寄りは発熱のみで、痛みがない場合もあるので注意が必要です。
 病院では血液検査、超音波・CT検査などで診断をします。胆のう結石と胆管結石では治療が異なり、一般に胆管結石の方が重症化しやすく緊急での治療を要します。
 胆のう結石で痛みが出ている場合は、手術によって胆のうごと摘出するのが一般的です。炎症の程度や患者さんの状態によっては、緊急で手術をする場合と薬や点滴で炎症を治めてから手術をする場合とがあります。健診などの機会に無症状で見つかった場合、多くは定期的な検査のみで治療を必要としません。無症状の胆のう結石は半数から8割が、そのまま一生症状が出ないと考えられています。胆石を溶解させる薬もありますが、長期間の内服が必要であり、完全に溶けきる割合は高くはありません。
 一方、胆管結石は無症状であっても内視鏡による治療が必要であり、痛みや発熱がある場合には緊急で治療を行います。治療は内視鏡を十二指腸にある胆管の出口まで挿入し、出口を拡げた後に胆石を排出させます。胆石が疑われる症状があれば早めに受診しましょう。

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