2019年8月21日水曜日

先天欠如と過剰歯

ゲスト/E-line矯正歯科上野 拓郎 院長

先天欠如、過剰歯とはどのような状態をいいますか。
 乳歯が抜け、永久歯へと生え替わるのは成長の過程として当然、と思っていたはずが、お子さんになぜか抜けない乳歯があったり、乳歯が抜けても永久歯がなかなか生えてこなかったりすると、ちょっと不安になってしまいますよね。それはもしかすると、生まれつきの歯の形成異常の一種である「先天欠如」が原因かもしれません。一度かかりつけの矯正歯科に相談されるのがいいかと思います。
 先天欠如とは、永久歯がなんらかの原因で作られず、欠損している状態のことをいいます。国内では1本から数本の永久歯が生えてこない子どもが10人に1人程度いるとみられ、調査では下顎(かがく)の第2小臼歯の欠如率が高いとされています。
 永久歯が先天欠如すると、その部分の生え替わりが起こりません。乳歯がそのまま残っている間はいいのですが、その後どこかのタイミングで抜けてしまうことも多く、欠損部を放置していると周囲の歯が移動したり傾いたりして、歯並びやかみ合わせがどんどん悪くなります。
 先天欠如が見つかった場合に重要なのは、長期的な治療計画を立て、適切な時期に適切な治療を行うことです。残っている乳歯を大事にしながら、歯並びやかみ合わせに異常が生じないように管理を続け、しかるべきタイミングがきた時に矯正・補綴(ほてつ)治療を行います。6本以上の先天欠如であれば、矯正治療は保険適用となります。
 先天欠如とは逆に、正常な歯の数を超えてできた歯を過剰歯と呼びます。普通の歯と違い、きれいに生えてくることはあまりなく、多くの場合は顎の骨の中に埋まった状態か、正常な歯と歯の間に余分な歯が埋まっていたり、正常な歯と隣り合わせに生えてきたりします。放置していると歯並びやかみ合わせに悪影響を与えるのはもちろん、過剰歯の埋まっている場所が悪ければ、そのまま骨の中で成長すると永久歯の根元を溶かしてしまうことも。過剰歯が生える場所として最も多いのは、上顎の2本の前歯の間で、「前歯の間の隙間がふさがらない」「左右の前歯の生える時期が極端に違う」などの症状で気付くことが多いです。
 治療は、顎(あご)の骨の奥深くにあり、近くの歯に影響を与える心配がないときには抜かずに様子をみますが、将来的に悪影響が大きい場合は抜歯するのが基本。先天欠如と同様に、年齢に合わせて歯や顎の成長を予測、観察しながら長期的な治療プランが必要になります。