2019年8月14日水曜日

摂食障害

ゲスト/医療法人北仁会  いしばし病院 畠上 大樹 医師

摂食障害とはどのような病気ですか。
 摂食障害はさまざまな心理的・社会的要因から、体重や体型の変化に過度にこだわり、食行動に異常を起こす病気です。極端に食事を制限する「神経性やせ症」、頻繁に過食をしてしまう「神経性過食症」「過食性障害」に大きく分けられます。
 極端なダイエットの反動から過食に変わるケース、拒食と過食を繰り返すケースなどさまざまで、摂食障害と同時にうつ病やアルコール・薬物の使用障害など、ほかの精神疾患を併発する例も少なくありません。
 本人が隠したり、家族や周囲の人も病気に気付かなかったり、適切な治療を受けないまま重症化するケースが多く、摂食障害の死亡率は約5%(栄養失調による合併症など)と精神疾患の中で特に高い数値となっています。
 症状が出てから受診するまでの期間が、その後の経過を大きく左右するため、早期の診断・治療開始がとても重要です。

治療について教えてください。
 摂食障害の患者さんは、病気を治したいという思いよりも「これ以上太りたくない」「もっとやせたい」という気持ちの方が強くなっているなど、そもそも治療への意欲が低下していることが少なくありません。摂食障害の治療は、まず自分を苦しめているのは自分自身ではなく、「病気」であることを認識し、「気の持ちよう」や「本人の努力」だけでどうにもならないと知ることから始まります。周囲の助力と医療機関の助けが不可欠だと理解してもらわなければなりません。
 そのために、病気を「別れなければいけない恋人」に例えるなどし、擬人化することで、患者さんの内面に問題があるのではなく、その恋人=病気こそが問題の元凶なのだというふうに発想の転換を図ってもらう(外在化の技法)など、患者さん自身が治療に積極的に取り組み、医療者と力を合わせて治していこうという気持ちを持ってもらえるよう、さまざまな手を尽くします。
治療に特効薬はありませんが、認知行動療法や自助グループでの対話に効果が認められています。一般的に摂食障害の治療は時間を要することが多いです。一進一退を繰り返しながら徐々に良くなっていきます。回復への道は平坦ではありませんが、治る病気です。あせらず、あきらめず、ゆっくりと治療を続けることが第一です。