2019年6月19日水曜日

口唇ヘルペス

ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

口唇ヘルペスについて教えてください。
 かぜをひいたり、疲れたりして免疫力が低下した時、くちびるやその周囲にピリピリとした痛みやかゆみを伴う、小さな水ぶくれができる病気です。水ぶくれは1〜2週間ほどで乾き始めて、かさぶたとなり治癒します。必ずくちびるにできるわけではなく、頬や鼻の下、目の周り、耳などにできることもあります。
 口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスが原因で起こります。単純ヘルペスウイルスは、一度感染すると症状がなくなった後も体内に残り神経細胞にすみつく特徴を持っています。これを潜伏感染といいます。多くは子どものころに感染しますが、気付かない場合もあります。症状が出ていなくても単純ヘルペスウイルスが潜伏している人は多く、大人で50%以上とされ、年齢が高くなるにつれ、その感染率は高くなります。大人が初めて感染すると、発熱する場合もあり、症状が少し重くなる傾向があります。
 普段は活発に活動せず、神経節にじっと潜伏し、症状を表すことのない単純ヘルペスウイルスですが、疲労やストレス、体調不良、かぜ、紫外線などの影響で体の免疫力や抵抗力が落ちると、ウイルスが再活性化します。増殖したウイルスは神経細胞を通って、主にくちびるやその周辺に移動し、発症します。

治療について教えてください。
 現在のところ、体から単純ヘルペスウイルスを駆逐するのは難しいとされ、症状がひどくならないうちにウイルスの活動を抑え、早く治すのが治療の目的となります。
 治療は抗ウイルス薬の内服が中心です。患部の乾燥や細菌感染を防ぐために外用薬を併用することもあります。体調や健康状態などにより、症状の程度は異なりますが、早期に対処すると治りが早く、悪化を防ぐことができます。くちびるに、ピリピリ、チクチクとした違和感や痛みを感じたり、水泡に気づいたり、ヘルペスを疑う症状がある場合はできるだけ早く対処しましょう。
 くちびる以外に出る単純ヘルペスは、ほかの皮膚疾患と間違えられやすく、また初期の帯状疱疹と見分けにくいケースがあるので注意が必要です。
 単純ヘルペスウイルスは、体内に潜み、何度も再活性を繰り返すことのある厄介なウイルスです。疲れ・ストレスをためる、紫外線を長時間浴びるなど、免疫力・抵抗力を弱めるような状況をできるだけ避け、症状が出たら速やかに医療機関を受診し治療を始めるのが大切です。