2019年3月6日水曜日

多焦点眼内レンズによる白内障治療

ゲスト/大橋眼科 大橋 勉 院長

白内障の治療について教えてください。
 白内障は、瞳の後ろにある水晶体が濁るために起きる視力障害です。治療には点眼薬が投与されますが、最終的には手術が必要です。日本白内障学会などによると、白内障手術は全国で年間140万件以上行われており、最も実施件数の多い外科手術の一つです。
 一般的な手術法は、水晶体を包んでいる袋を残し、袋の中の濁りを超音波で細かくして取り除き、代わりに人工の眼内レンズを挿入するものです。それぞれの目によって症状、程度、状況が異なるため、同じ白内障の手術でも難易度に差があります。
 通常、眼内レンズは1つの距離に焦点を合わせた「単焦点眼内レンズ」が使われていますが、近年では遠距離と近距離の2点に焦点が合うように設計された「多焦点眼内レンズ」も一般的になってきました。

多焦点眼内レンズによる白内障手術について教えてください。
 自由にピントを変えられるような見え方とは異なり、遠くにも近くにもメガネなしで焦点が合いやすくなります。場合によってはメガネを必要とするケースもありますが、頻繁に掛け外しをする煩わしさからは解放されます。乱視の治療も同時に行うことができますが、比較的治療の難易度が高く、多焦点眼内レンズを挿入後に乱視矯正の追加の治療が必要な場合もあります。
 夜間の光をまぶしく感じたり、暗い場所ではくっきり感が落ちたりするなどの弱点もあるので、どちらのレンズにするかは医師と話し合い、ライフスタイルを考慮して選択することをお勧めします。
 多焦点眼内レンズは2007年に厚労省に認可され、08年に先進医療として承認されました。先進医療とは、厚生労働大臣が保険適用外の先端的な医療技術と保険診療との併用を、一定条件を満たした施設のみに認める医療制度です。先進医療施設に認定された医療機関で、多焦点眼内レンズによる白内障治療を受ける場合、術前術後の診察などに保険が適用となります。また、民間の生命保険の先進医療特約の対象ともなり、先進医療に係る費用が全額給付されるケースもあります。
 保険外診療となりますが、遠近に加えて中間距離にも焦点の合う「三焦点眼内レンズ」も登場しています。眼内レンズの進化に伴い、白内障手術も見え方の質をより一層重視する時代に入ってきました。