2019年2月13日水曜日

肺年齢とCOPD(慢性閉塞性肺疾患)

ゲスト/医療法人社団 大道内科・呼吸器科クリニック 大道 光秀 院長

肺年齢について教えてください。
 胸部X線検査は、肺の異常所見を見つけるものですが、呼吸器疾患の早期発見は難しいとされています。早期発見のためには、肺活量のようにどのくらいの量の空気を吸い込んだり吐き出したりできるか、またどれくらいの速さでたくさん吐き出すことができるかを調べる「スパイロメトリー」という呼吸機能検査が必要です。しかし、従来のスパイロメトリーによる検査値の判定(表示)は、患者さんにとって理解しにくいものでした。そこで、日本呼吸器学会が呼吸機能検査の結果をもとに、呼吸機能を年齢という身近な指標に置き換え、肺の健康状態を知る目安として考案したのが「肺年齢」です。例えば、59歳の患者さんが「肺年齢は93歳。実年齢よりも34歳高いです」と指摘されたら、日常生活に苦痛や不便を感じていなくても、少なからず危機感を覚えるはずです。実年齢との差を自覚することで、呼吸機能の健康への関心と早期治療への意識が高まることが期待されています。
 肺年齢は、大きく息を吸ったのち一秒間にいっきに吐ける息の量(一秒量)を測ることで、自分の肺の機能が実際は何歳ごろの肺の状態に相当しているのかをみる一つの目安です。一秒量の標準値は性別、年齢、身長によって異なり、20歳代をピークに加齢とともに減少します。測定後、患者さんの肺年齢と評価コメントが表示され、「異常なし」から「境界領域(現時点では異常なし)」、「肺疾患の疑い(要精検)」、「COPDの疑い(要経過観察・生活改善)」、「COPDの疑い(要医療・精検)」まで5つのグループに分類されます。「肺疾患の疑い」となった場合は、専門医による精査が必要と判断されます。また、「COPDの疑い」がある場合には、専門医の診断後、禁煙指導や気管支拡張薬、吸入ステロイド薬などによる治療が開始されます。
 肺年齢を老化させる病気の代表がCOPDです。喫煙が主な原因とされ、肺への空気の通りが慢性的に悪くなり、ゆっくりと進行していきます。これまで肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていたもののほとんどが含まれます。せき、たん、息切れが主な症状ですが、進行すると呼吸困難で日常生活に支障をきたし、呼吸不全で死に至るケースもあります。
 COPDは初期の段階では症状を自覚しにくいので、早期発見に呼吸機能検査は不可欠です。まずは自分の肺年齢を知ること。そして、定期的な肺年齢の測定を心掛け、COPDをはじめとする呼吸器疾患の予防と早期発見につなげることが大切です。