2019年1月9日水曜日

不登校

ゲスト/医療法人五風会 さっぽろ香雪病院 江川 浩司 副院長

不登校について教えてください。
 文部科学省は、1年間の欠席日数が病気などを除いて30日以上になることと定義しています。文科省が2018年2月に公表した「児童生徒の問題行動・不登校等調査」によると、年間30日以上欠席した不登校の子どもは、全国の小中学生合わせて前年度比6.1%増の13万3683人に上り、4年連続で増加しています。うち小学生は同10.4%増の3万448人、中学生は4.9%増の10万3235人。小学生では全児童の1%、中学生では全生徒の4.1%が不登校となっています。
 不登校の子どもへの支援を考えるとき、不登校の状態や継続している原因などを事例ごとに詳しく分析し、個別的にアプローチしていく必要があります。文科省の同調査(2014)によると、不登校になったきっかけと考えられる状況として、①学校生活によるトラブル(いじめ、集団生活が苦手、教師と合わないなど) ②学業不振 ③非行や遊び ④家庭環境(家庭内不和、金銭的問題など) ⑤無気力(登校しないことへの罪悪感が少ないなど) ⑥不安など情緒混乱(漠然とした不安や身体の不調を訴えるなど)の六つの要因が挙げられています。小中高生いずれも「不安など情緒的混乱」と「無気力」が例年、最も大きなウエイトを占めています。

子どもが不登校になったとき、どのように対応すればいいですか。
 不登校になったきっかけと考えられる原因を取り除いたり、環境・状況を調整したりすることも大事ですが、その裏に「本当の原因」「潜在的な要因」として、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、パニック障害、自閉症スペクトラム障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)などの精神疾患が隠れているケースも多いです。また、メンタルヘルスの問題以外の契機で不登校となっていても二次的にこれらの精神疾患を発症することもあります。
 うつ状態は自殺につながるリスクがあり、軽症であっても放置することは危険です。うつ病に限らず、心の病気は早期発見・治療が、病気からの回復・予後の改善に何よりも重要です。
 病院での適切な治療を経て、不登校が解消された例はたくさんあります。1〜2週間の欠席が続き、その原因がはっきりしない場合や、病気やけがが見つからないのに頭痛や腹痛などを訴え、欠席が続く場合などは、精神疾患が隠れている可能性があるので、「少しあやしいな」という時は迷わずに心療内科・精神科を受診してもらいたいと思います。

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