2018年10月17日水曜日

お酒で赤くなる人は、食道がんに要注意

ゲスト/福住内科クリニック 佐藤 康裕 院長

どのような人が食道がんになりやすいのですか。
 日本人の食道がんは、飲酒と喫煙が大きな原因です。飲酒については「昔は飲むとすぐに赤くなったけれど、鍛えられて強くなった」という人が特に要注意です。
 飲酒で顔が赤くなる人のことを「フラッシャー」と呼びます。お酒の成分のエタノールは、体内で分解され、アセトアルデヒドという有害物質に変化し、これがさらに分解されて無害な酢酸になります。アセトアルデヒドは顔の赤らみや頭痛、二日酔いの原因であることに加え、発がん物質でもあります。
 アセトアルデヒドを分解する酵素には、遺伝的に3つの型があります。日本人の50〜60%は強い酵素を持っており、この人たちはお酒に強く赤くなりません。5〜10%は酵素活性がなく、お酒がほとんど飲めない人たちです。残りの30〜45%が、酵素の働きが弱く、少し飲めるけれど赤くなるフラッシャーの人です。
 フラッシャーは、アセトアルデヒドの分解が遅く、体内に発がん物質のとどまる時間が長くなるため、がんのリスクが高いとされます。また、フラッシャーであったのに、飲み続けることで「お酒に強く」なり、さらに過度の飲酒を続けていると、食道がんの発症率が何十倍も高くなることがわかっています。
 欧米で頻度が高いのは逆流性食道炎に起因する食道がんです。日本ではこのタイプの食道がんは少ないのですが、生活習慣の欧米化などにより今後増加してくることも予想されます。

食道がんの診断や治療について教えてください。
 無症状の早期がんは、集団検診のバリウム検査で見つけられることはあまりありません。内視鏡検査であれば、早期発見が可能です。早期食道がんは、内視鏡を用いた切除で体に大きな負担をかけずに、比較的短期間で治療することができます。
 食道がんは進行してくると、のどの違和感や飲み込む時のつかえ感などの症状が出てきます。進行がんでは内視鏡による治療はできず、手術・抗がん剤・放射線を組み合わせて治療します。日々治療法は進歩していますが、依然としてこれらの治療による体の負担は大きく、治療が難しいがんといえます。
 食道がんにならないためにフラッシャーの人は過度の飲酒を控えてください。また、早期発見のためには、長年飲酒を続けている人は症状がなくても定期的な内視鏡検査を受けることをお勧めします。

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