2018年9月26日水曜日

認知症の介護

ゲスト/医療法人五風会 さっぽろ香雪病院 西 裕 診療部長

認知症について教えてください。
 認知症は、一旦発達した知能がさまざまな原因により持続的に低下した状態のことを示します。
 認知症の症状は、認知症の種類(アルツハイマー型、血管性、レビー小体型など)や個人によって異なりますが、初期には物忘れ、進行すると易怒性(いどせい・強い怒りを抑えられない症状)、不安感の増大などの精神症状や行動異常が現れることが多いです。妄想に左右された言動が認められることもよくあります。
 ご家族の方に認知症らしき振る舞いが現れたとしても、受診させるのをためらってしまう場合や、また本人が頑として病院に行こうとしないケースが多いです。しかし、受診を先送りにすればするほど生活面での問題が大きくなりがちなので、健康診断的な面を強調するなど、本人のプライドを傷つけない配慮をしつつ、受診を促すのが適切です。

認知症の介護についてアドバイスをお願いします。
 ご家族の方が認知症と診断されたとして、日々の介護が負担となっていくことが予想されます。公的な支援を受けてみてはいかがでしょうか。そのために、まず市町村の福祉課や、地域包括支援センターに相談して、介護保険制度に基づく介護認定の申請をしましょう。要介護度が認定されると、その程度に応じて訪問介護やデイサービス、デイケア、ショートステイといった介護サービスが受けられます。
 訪問介護には、ホームヘルパーが入浴や排泄(せつ)、食事について介助する身体介護と、買い物や調理、洗濯などを行う生活援助があります。デイサービスでは、日帰り介護施設において入浴、食事などのサービスや機能訓練を受けられます。施設の多くは送迎車を用意しているので利用しやすいです。デイケアでは、介護老人保健施設、病院などにおいてリハビリを受けられます。ショートステイでは、短期入所生活介護、療養介護のための施設を利用できます。これらのサービスを受けることは、普段介護を行なっているご家族の負担軽減にもつながります。
 こうしたサービスを受けつつ自宅での介護を続けたとしても、生活の維持が困難となった場合には、施設入所を検討することになります。
 認知症の介護は長期間に及びます。ご家族の中だけで問題を抱え込まず、医師、看護師、福祉関係者などと相談していくことが大切です。

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