2018年4月4日水曜日

加齢黄斑変性症

ゲスト/大橋眼科 大橋 勉 院長

加齢黄斑変性症とはどのような病気ですか。
 人間の眼は、角膜、水晶体、硝子体(しょうしたい)を通って、網膜の上に像を結んで物を見ます。その中心部は黄斑部と呼ばれ、物を見るために最も重要な部分です。この黄斑部に異常な老化現象が起こり、視力が低下する病気が加齢黄斑変性症です。欧米先進国では50歳以上の失明の主因とされ、日本でも患者数が増加しています。視野の中央がよく見えない、暗く見える、ゆがむといった症状が現れたら、加齢黄斑変性症が疑われます。
 この病気は、網膜に栄養や酸素を供給している脈絡膜から発生する新生血管の有無によって「浸出(しんしゅつ)型」と「萎縮型」とに分けられます。浸出型は、新生血管が発生し、出血などにより網膜が障害されて起こるタイプで、進行が早く、急激に視力が低下していきます。萎縮型は、網膜の細胞が加齢により徐々に萎縮していきます。日本では進行の早い浸出型が多く、急な失明の危険性もあるため、有効な治療法が求められてきました。

治療法について教えてください。
 これまで国内では、光に対する感受性を持つ光感受性物質(ベルテポルフィリン)を、ひじから注射し、新生血管に到達した時、非熱性の半導体レーザーを当てて化学反応を起こさせる「光線力学療法」が、浸出型の治療の中心的役割を果たしてきました。しかし、日本でも新生血管の成長を活発にする物質である血管内皮増殖因子(VEGF)の働きを抑える治療薬が登場し、薬物療法が広がり始めており、いくつかの種類の抗VEGFがあります。
 これは「抗VEGF療法」といい、薬を眼球の硝子体に注射することで、新生血管の増殖や成長を抑えます。基本的には月1回の注射を1~3ヶ月行い、その後症状が悪化するようであれば、再度注射を追加して治療を行っております。抗VEGF療法は視力の維持だけでなく改善効果も期待でき、画期的といえます。ただ一旦大出血を起こし網膜に強い障害が起きた場合は、回復しない事も多いです。薬は保険適用されているものの価格が比較的高く、10回以上も注射をすることが希にあります。また、まれに感染、視力低下、眼痛、出血などの合併症が起こる可能性もあり、費用やリスクも含め、医師と話し合って納得してから治療を受けるようにしましょう。
 いずれにしても、早い時期に治療することが大切です。視界に異変を感じたら、すぐに眼科専門医を受診してください。