2018年3月7日水曜日

アルコール依存症

ゲスト/医療法人 耕仁会 札幌太田病院  太田 健介 院長

アルコール依存症について教えてください。
 飲酒のコントロールが効かなくなる病気です。健康を損ね、家庭生活や仕事に支障を来たしても、お酒をやめられません。国内にはアルコール依存症の疑いがある人が約440万人いると推計されています。
 アルコール依存症は薬物依存症の一種です。個人の人格や意志の弱さが原因ではありません。繰り返し飲酒することで、お酒に含まれるエチルアルコールという依存性の薬物に対して、脳の神経細胞に耐性が生じ、飲酒量をコントロールできなくなるのです。ビール、ワイン、日本酒などさまざまなお酒がありますが、すべてにエチルアルコールが入っています。つまり、お酒を飲む人であれば誰でも、気づかないうちに依存症になってしまう可能性があるのです。
 依存症になると、飲酒を原因とする多種の合併症が生じます。例えば、高血圧、高脂血症、肝硬変、認知症などが挙げられます。また、脳卒中や心筋梗塞など、脳や循環器の疾患にかかるリスクも顕著に高くなります。うつ病の合併も頻度が高く、自殺のリスクを高めることも明らかになっています。
 依存症は中高年の男性に多い印象がありますが、高齢者や若年層、さらに女性の患者も増加しています。特に、未成年の飲酒は発達途上の脳への障害が大きく、ほんの数年で依存症になってしまう危険性があります。飲酒に対し寛容といわれる日本社会では、中高生からの酒害教育を行っていく必要があるでしょう。

依存症の治療と予防について教えてください。
 治療には「断酒」が必要です。飲酒のコントロールができない病気ですので、「1日1杯だけ」「土日だけ飲む」などの節酒は困難で、きっぱりやめるしかありません。薬物療法や認知行動療法、断酒会への参加により、断酒につなげていきます。ほかの病気と同じように、軽いうちに治療を始めれば、早期の回復が可能です。重要なのは、病気だと自覚し、正しい知識を得て、有効なやめ方を知ることです。
 依存症の一番の予防は、お酒と病気について正しく知ること。依存症は人生が破綻し、周囲を傷つける「進行性の深刻な病気」であると理解することが大切です。お酒の持つ負の側面を十分に認識し、お酒と安全に付き合っていくことが重要で、それができないのであればお酒をやめるのが安全です。