2016年11月2日水曜日

多焦点眼内レンズによる白内障治療(眼科領域の先進医療)


ゲスト/大橋眼科 大橋 勉 院長

多焦点眼内レンズによる白内障治療について教えてください。
 白内障の治療は、最終的には手術が必要で、濁った水晶体を摘出して人工眼内レンズに入れ替えます。
 日本で使われている眼内レンズの多くは単焦点眼内レンズですが、近く、あるいは遠くの1カ所にしかピントが合わず、メガネを手放せませんでした。それを解消しようと生まれたのが多焦点眼内レンズです。
 多焦点眼内レンズは、1枚のレンズに遠距離、近距離の両方に焦点が合うように設計されています。自由にピントは変えられませんが、近くにも遠くにもメガネなしで焦点が合いやすくなります。ただ、夜間の光をまぶしく感じたり、暗い場所ではくっきり感が落ちたりするなどの弱点もあり、全ての人に適しているわけではありません。
 多焦点眼内レンズは2007年に厚労省に認可され、08年に先進医療として承認されました。先進医療とは、厚生労働大臣が保険適用外の先端的な医療技術と保険診療との併用を、一定の条件を満たした施設のみに認める医療制度です。先進医療施設に認定された医療機関で、多焦点眼内レンズによる白内障治療を受ける場合、術前術後の診察などに保険が適用となります。また、民間の生命保険の先進医療特約の対象ともなり、先進医療に係る費用が全額給付されるケースもあります。
 眼内レンズの度数は、角膜屈折や眼軸長により計算して慎重に選びますが、目の状態によっては誤差が生じることがあり、術後に視力が思うように出ないケースもあります。そのような場合、適切な度数が得られる眼内レンズへの入れ替え手術を行うこともできます。単焦点から多焦点へと、また、多焦点の見え方になじめない時は、単焦点へと入れ替えることも可能です。

眼内レンズで乱視を矯正することはできますか。
 14年5月から、厚労省の認可を受け、乱視矯正機能を持たせた眼内レンズが発売されています。従来の眼内レンズでは矯正不可能であった乱視も、白内障手術と同時に治すことができるようになりました。
 保険外診療となりますが、遠近に加えて中間距離にも焦点の合う三焦点眼内レンズも登場しています。眼内レンズが進化し、白内障手術は患者さんのライフスタイルに合わせた治療の選択ができるようになり、視力の質をより一層重視する新しい時代に入ってきました。