2016年10月12日水曜日

痔核の治療と手術の適応


ゲスト/札幌いしやま病院 碓井 麻美先生

痔核の治療について教えてください。
 痔は、肛門付近で起きる病気の総称です。このうち外来で最も多いのが「痔核」で、いわゆる「いぼ痔」のことです。いぼができる場所によって、「外痔核」と「内痔核」に分類されます。
 肛門の皮膚部分にできる外痔核は、便秘で力んだり、重い物を持ったりして急に腹圧をかけることによって起こることが多く、痛みがあります。入浴で肛門部を温めて血行を良くし、排便の調整や座薬、軟膏などの投薬で、数日で軽快するのが一般的です。特に痛みが強い場合は、簡単な手術で痛みが軽快することもあります。
 一方、肛門の内側の粘膜にできる内痔核は、排便時のいきみなどによって肛門の出口から数センチのところにある柔らかい部分(クッション)が腫れにより本来あるべき位置からずれ落ちた状態です。出血を伴うことが多く、さらに、このクッションが肛門の外まで出てきた状態を「脱肛」といいます。患部に薬を塗るなどの方法で治療しますが、脱肛を繰り返すなど重症化したケースでは、切らずに治す注射療法(ALTA注射療法)や外科手術(当院では肛門形成術)を行うこともあります。

手術の適応について教えてください。
 「病院に行くと、すぐに手術される」などの恐怖心、不安感から受診をためらっている人も多いのではないでしょうか。そんなことはありませんので、安心して診察を受けてもらいたいと思います。痔核は、がんなどと違って悪性の病気ではないので、必ず手術が必要なものではありません。当然ですが、来院される痔核の患者さんすべてに手術を勧めるわけではありません。
 症状が軽い場合は、手術をせずに生活習慣の改善指導と投薬(座薬、軟膏、内服薬)で治療を行い、経過を観察します。初診の方の半数以上は、これらの治療で病状が改善します。薬を数週間使用しても症状の改善が見込めない場合や、痛みや出血などで排便や日常生活に支障をきたしている場合に、初めて注射や手術による治療を検討することになります。
 重要なのは、早期に受診して現在の病状を正確に把握することです。その上で、数ある治療の選択肢の中から、医師とじっくり相談して、患者さん一人ひとりの悩みやライフスタイルにあった最適最善な治療法を見つけることです。