2016年7月13日水曜日

虚血性大腸炎


ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 院長

虚血性大腸炎とはどのような病気ですか。
 虚血性大腸炎とは、大腸への血液の流れが悪くなり、循環障害が起こることで生じる病気です。高齢者に多いといわれていますが、若年者にも起こります。男女差はありません。高血圧、糖尿病など動脈硬化を進展させる疾患が危険因子ですが、便秘やストレスが関係することもあります。
 典型的な症状は、突然の強い腹痛(主に左下腹部)で始まり、冷や汗、悪心、嘔吐などの症状を伴うこともあります。その後、数回の下痢が続き、徐々に血性の下痢になっていきます。
 似たような症状の病気も多いですが、血液検査に加え、大腸バリウム検査・内視鏡検査により特徴的な所見が得られます。最も診断に有効なのは内視鏡検査で、主にS状結腸から下行(かこう)結腸の部分に、粘膜のむくみ、発赤、ただれ、潰瘍といった病変が見つけられます。
 病状の推移により、一過性型(約65%)、狭窄型(約25%)、壊疽型(約10%)に分類されます。一過性型とは、一時的なもので安静や点滴などで完治する例。狭窄型とは、潰瘍が治る過程で腸が狭くなり、便の通過が悪くなる例。壊疽型とは、大腸への血流が回復せず、腸管が壊死を起こす稀なタイプです。壊疽型は死亡率が約50%と重篤な病態ですが、病気の大半を占める一過性型や狭窄型は生命の危険が少なく、再発も比較的少ないといわれています。

虚血性大腸炎の治療について教えてください。
 一過性型と狭窄型は、保存的治療が原則です。炎症の程度にもよりますが、腸管の安静のために絶食し、補液や抗生物質の投与を行います。一過性型は、約1〜2週間程度の治療で軽快しますが、狭窄型の場合、腹痛や下痢などの症状が続くときには外科的手術を行うこともあります。壊疽型では症状が急速に進行し、腹膜炎の併発など生命に危険があるため、早急な外科的手術が必要です。
 治癒した後に注意する点は、高血圧、糖尿病などを合併している方は、治療を継続するとともに、血流が悪くならないように普段から水分を多めに摂取したり、適度な運動を心掛けたりする必要があります。また、便秘が引き金になったと考えられる方は、排便のコントロールに取り組むこと、ストレスが誘引になったと考えられる方は、極力ストレスを減らし、ゆったりとした生活を送ることが重要です。

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