2016年2月17日水曜日

MCI(軽度認知障害)と認知症


ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 院長

MCIと認知症について教えてください。
 80歳以上の人口が1000万人を超え、4人に1人が65歳以上という高齢化社会を迎えました。「物忘れなどが増え、自分は認知症ではないか?」との心配から脳神経外科を受診される方が増えています。脳ドックでも、以前は脳卒中の予防が主な受診動機でしたが、近年は認知症の早期発見や予防を目的とされる方も多いです。
 MCI(軽度認知障害)は、認知症の前段階で、正常と認知症の間くらいに相当する状態を指します。MCIをそのまま放置していると、5年間で約半数の方が認知症へと進行するともいわれています。しかし、MCIの段階で進行を食い止めるための対策を行えば、認知症の発症を防ぐことも可能です。現在、認知症を治す薬は残念ながらありませんが、認知症の進行を遅らせる効果のある薬は登場しています。そういった意味でも早期での受診・診断・治療が非常に重要です。

MCIの診断と認知症への進行を予防する対策について教えてください。
 診察では、まず問診を行います。次に、記憶力や判断力のテスト、画像診断などを行います。重要なのは問診で、特にご家族からの情報が診断の鍵となることが多いです。物忘れの回数などに正常値があるわけではありませんが、以前に比べて著しく回数が増えている場合や、物忘れの質的な変化がある場合は、本人よりご家族の方がその異常を敏感に感じ取っているケースが多いからです。画像診断は、認知症と似た症状を引き起こす別の病気との鑑別において重要です。また、アルツハイマー型認知症などでは、脳の一部に萎縮が起こるなど特徴的な所見を呈するので、画像診断が、軽い症状のうちに治療を開始するための決め手となります。
 MCIと診断されたからといって、全ての方が認知症になるわけではありません。適切な対策をすることによって認知症の発症を防げる可能性もあります。食事や運動などの生活習慣を見直すこと、具体的には①野菜や果物をよく食べること ②肉類より魚類を多く食べること ③定期的な有酸素運動を行うことが推奨されています。多くは生活習慣病の予防と重なります。加えて、体をよく動かすこと、人とのつながりを大切にすること、心に適度な刺激を与えることなどが、アメリカのアルツハイマー協会からも推奨されています。