2016年2月3日水曜日

発達障害


ゲスト/医療法人社団 正心会 岡本病院 瀬川 隆之 医師

発達障害とはどのような病気ですか。
 発達障害は、行動や認知の特性によって、いくつかの個別の障害に分類されます。主に、忘れ物や落ち着きのなさなどの症状が目立つADHD(注意欠如多動症)、他人の気持ちの理解やコミュニケーション能力に難のある自閉症やアスペルガー症候群を含むASD(自閉スペクトラム症)などがあり、発達障害はそれらの総称として使われています。症状には個人差があり、複数の障害を併せ持つ人もいます。
 発達障害は、生まれながらにして脳の発達に凸凹がある障害と考えられています。脳の発達の凸凹は誰にでもあり、その人の個性とも捉えることができますが、その凸凹が極端で、生活に支障が出るほどになれば治療を行います。
 従来、子どもに特有の障害と考えられがちでしたが、近年は大人になるまで障害と気付かずに見過ごされ、社会へ出てから仕事や対人関係に対応し切れなくなって初めて認識されるケースが増えています。その結果、職場で孤立したり、「どうしてうまくやれないのか」と過度に自分を責めたりして、うつ病など二次障害に至るケースもあります。背景には、障害の「見えにくさ」や周囲の理解不足が指摘されています。

発達障害の治療について教えてください。
 現在のところ、発達障害を根本的に治す方法はありませんが、ADHDの症状を緩和する治療薬はあります。また、非薬物療法としてカウンセリングなどを通し、社会に適応するための生活術を身につけてもらう、本人の特性をあらかじめ周囲に伝え、どうしても難しいことについては何らかの配慮を得るなど、家族や職場との協力体制を築き、発達障害の人が生活しやすい環境づくりを行ったりします。必要であれば、症状を緩和させるための薬物療法を組み合わせるケースもあります。
 障害の特性により、周りの人との間に誤解を生むことも少なくありません。しかし、特性は時に強みにもなり、他人との違いを生かしたスペシャリストとして社会の中で活躍している人も数多く存在します。できないことよりもできることに焦点を当て、これまでの生活で叱られたり注意されたりして失った自己肯定感を取り戻す手助けをしてあげてください。発達障害の人が個々の特性を生かし、能力を発揮するには、周囲の十分な理解と温かなサポートが不可欠です。