2015年8月12日水曜日

うつ病のリハビリテーション


ゲスト/医療法人社団五稜会病院 佐々木 竜二 診療部長

うつ病予防や復職支援など職場のメンタルヘルス対策について教えてください。
 職場のストレスや過労でうつ病などを発症する人が増える中、精神科医が中心となり企業や官公庁などのメンタルヘルスを支援する取り組みが注目されています。ここでは、うつ病のリハビリテーションのうち、産業医学でキーワードとなる①職場リハビリ ②EAP ③リワークについて説明します。
 「職場リハビリ」は、長期療養した職員が復帰する際、短時間勤務から始める“試し出勤”を制度化したもので、勤務時間や職務の負担の掛け方など、一人一人に応じたプログラムを作り、復帰を支えるものです。ただ、休職中の出勤であったり、企業内のリハビリ実施部門に専門家がいない場合、症状悪化の危険性もはらんでいることなどから、制度自体をアウトソーシング化する動きもみられます。
 「EAP」は従業員援助プログラムと呼ばれ、米国で生まれた職場のメンタルヘルスサービスです。企業など事業場を対象とし、職員のストレス診断やカウンセリング、休職中の職員向けの復職リハビリなど、メンタルヘルス対策をEAP会社が代行するものです。そのほか、医療機関の紹介や管理職研修などを通じ、働きやすい職場づくりへの助言も行います。
 「リワーク」は、個人を対象とする職場復帰に特化したリハビリや集団心理療法、精神科デイケアの一種です。病院や診療所などで会社での仕事やコミュニケーションの訓練などを通し、心と体を徐々に仕事に慣らしていきます。グループで行われるプログラムが多く、同じ体験をした同士が話し合うことで共感や連帯が生まれ、自分を見つめ直すきっかけにもなります。

メンタルヘルス対策の今後の課題について教えてください。
 働く人たちの心理的な負担の程度を確かめる「ストレスチェック制度」が、従業員50人以上の事業所を対象に、2015年12月から義務付けられます。これは、定期的な検査でストレスの高い人に面接指導を受けるように勧奨したり、事業者に全体のストレス結果を提供することを目的にしています。検査の方法や面接後の対応のあり方など、検討すべき課題もたくさんありますが、画期的な制度といえます。全てを社内の人員体制で行うのか、外部の人材や組織との連携で行うのか、可能な部分全てを外部の支援機関に委託して行うのかという判断など、導入準備や体制づくりを計画的・組織的に進めていく必要があるでしょう。ストレスチェック制度の導入を、ぜひ職場のメンタルヘルスを見直す機会として捉え、働きがいのある職場づくりに活用してもらいたいと思います。
 道内でもEAP会社の設立や、リワークへの取り組みが広がり、一定の成果を挙げていますが、まだ始まったばかりで本格的な普及はこれからです。働く人の休職、再休職を防ぐことや職場復帰を支援すること、心の健康を守ることは、企業活動にとって重要だということを、より多くの企業や人に意識してほしいです。