2015年7月15日水曜日

関節エコー検査とレイノー現象


ゲスト/佐川昭リウマチクリニック 佐川 昭 院長

関節リウマチ診療において、関節エコー検査の有用性が注目されているのはどうしてですか。
 関節エコー検査の最大の利点は、レントゲンでは判断できない炎症や血流の状態をリアルタイムに、そして時系列的に診断可能なことです。そのため、①リウマチの診断②経過観察③寛解の判断などの場面で大きな力を発揮します。
 検査では、怪しいと思われる関節に、聴診器のように関節エコーを当てると、炎症を起こしている箇所が、まるでメラメラと燃えているかのように画面に赤く映し出されます。診断時には、腫れているかどうか迷うケースや、腫れていないのに痛みがあるケースなど、診察だけでは分からない炎症を拾い上げることができます。経過観察時には、治療薬が効いているかどうか、その効果の判定と、効果がないなら別の方法を考える参考にもなります。寛解とは病気が治ってきている状態をいいますが、関節エコーを用いれば、画像的にも確実に炎症が消えていることを確認できるので、より正確に薬剤の減量や中止を判断することができます。
 患者さん自身の目で炎症の状態や病状の推移を確認できるので、病気や治療に対する理解に役立ち、リウマチを鎮めていこうという強い気持ちである「治療心」を高められるというメリットも大きいです。

レイノー現象という言葉を耳にすることがありますが、どのようなものですか。
 寒い所に行ったり精神的に緊張したりした時に、手指の先が急に真っ白になるのがレイノー現象です。寒さや緊張などの刺激に対して、血管が過敏になっているのが原因と考えられています。最初は白くなり、その後、酸素不足のために暗い紫色に変わります。この現象は一時的なもので、温めたり時間がたったりすると、赤を経て、次第に元の色に戻ってきます。
 レイノー現象は、いわゆる膠原(こうげん)病に伴ってみられる場合が多いので、背景に膠原病が潜んでいないか検査が必要となります。レイノー現象を伴う膠原病は多く、全身性エリテマトーデス、強皮症、シェーグレン症候群などがあります。
 膠原病かどうかを診断するには、レイノー現象のほかにいくつかの症状の有無を調べ、血液検査やレントゲン検査などをすることも必要です。自分で気を付けることは、体や手足を冷やさないよう寒冷を避け、心身の安静を保つことです。今までにない症状が表れた時には、早めに専門医にご相談ください。

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