2015年6月24日水曜日

子どもの歯科矯正治療


ゲスト/宇治矯正歯科クリニック 宇治 正光 院長

子どもの矯正治療について教えてください。
 お子さんの歯並びに矯正が必要かどうか迷う人も多いのではないでしょうか。歯並びを確かめる方法の一つとして、お子さんの口元を顔の正面から観察してみてください。上下の前歯の真ん中の位置が一致していれば安心ですが、ずれている場合は、矯正の必要があると考えられます。出っ歯や受け口など、上下の顎が前後に大き過ぎたり小さ過ぎたりという骨格的な問題は、一般の方でも気付きやすいですが、左右のずれは発見しにくいものです。
 前後あるいは左右にずれが認められる場合は、顎骨(がっこつ)の成長コントロールが可能な9〜11歳までに矯正治療を行うのが理想的です。就寝時にバイオネーターと呼ばれる機能的顎(がく)矯正装置を装着し、寝ている間にずれた顎の骨を中央に移動させます。子どもの成長の力を利用して、無理なく自然にバランスのよい骨格をつくれます。痛みはほとんどなく、日中は装着の必要がありません。ずれの程度にもよりますが、装着期間は半年〜1年が平均で、経過観察のための通院は、1〜3カ月に一度が目安となります。
 ずれの原因はさまざまですが、歯そのものがずれているケースもあり、永久歯がはえそろってからでも治療は可能です。その場合、抜歯する可能性は高くなりますが、きれいに治療できるケースがほとんどです。矯正治療をいつ始めるべきかという判断は非常に難しいので、一度専門医にご相談ください。

家庭でチェックするための別の方法はありますか。
 頬づえやかみ癖、就寝時の姿勢が左右どちらかに大幅に偏っている場合などは、左右のずれを引き起こす原因になることがあります。上下の前歯の位置を確認したら、次は鼻の先端を基準に、鼻の中央に前歯の中心が沿っているかを見てください。ずれの原因は一見して分かるものではなく、万が一、骨格のずれを歯のずれと勘違いして放っておくと、矯正に最適な成長時期を逃してしまうので注意が必要です。
 子どものうちの悪い歯並びやかみ合わせを放置していると、成長に伴い虫歯や歯周病の原因となったり、顎関節にも悪影響を及ぼす恐れがあります。また、大人になってから心理的なストレスの原因となる場合もあります。少しでもおかしいと感じたら、早めに専門医に相談することをお勧めします。

2015年6月17日水曜日

アレルギー性鼻炎・慢性副鼻腔炎による咳(せき)


ゲスト/医療法人社団 大道内科・呼吸器科クリニック 大道 光秀 院長

―花粉症の季節の頑固な咳について教えてください。
 北海道の花粉症は4月下旬から5月下旬までがピークです。道内の花粉症の原因として、シラカバ、ハンノキによるものが多く、花をつける4月下旬から始まります。さらに、カモガヤなどのイネ科の牧草やヨモギによる花粉症が9月頃まで続きます。花粉症では鼻や眼の症状が良くなった後でも,気管支の粘膜が過敏な状態になっているので、感冒をきっかけとしてひどい咳になることがあります。シラカバ花粉症の時期に咳がひどい場合、花粉症による咳か、鼻水が喉(のど)に落ちてきたための咳かを区別して治療しなければなりません。もちろんこの時期でも肺炎やぜんそく,肺結核の場合もありますので、その区別も必要で、胸部写真や肺機能検査を受けて適した治療を受けることが大切です。
 鼻水が鼻の後を通って喉に流れ落ちる状態を、後鼻漏(こうびろう)といいます。落ちた鼻水が喉を刺激することで、痰(たん)のからんだひどい咳や喉のイガイガ感を引き起こします。後鼻漏の原因としては、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔(びくう)炎(蓄膿症)が挙げられます。副鼻腔炎は鼻の周辺の骨の中にある副鼻腔と呼ばれる空洞に炎症が起きる病気で、炎症の原因はアレルギーによる場合と、細菌やウイルスの感染によるものがあります。

―具体的な治療について教えてください。
 副鼻腔炎は急性と慢性とに分けられますが、急性副鼻腔炎の多くは感染性で抗生物質の使用で速やかに治ります。慢性副鼻腔炎はアレルギー性鼻炎に伴う場合と感染によるものがあり、アレルギー性の場合は、抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン拮抗薬であるモンテルカスト、プランルカスト、ステロイドの点鼻などが使用されます。慢性副鼻腔炎に伴う症状の中でも、後鼻漏が引き起こす咳や痰は非常に厄介なもので、鼻炎の症状(鼻みず、鼻づまり)がなく、喉のイガイガ感や咳,痰だけのこともあり診断が難しく、治療も数回の外来で治すことは困難です。感染による場合はマクロライド系の抗生物質を少量、長期間投与する治療法(マクロライド少量長期療法)が選択されます。抗生物質は長くても2週間以内の投与というのが一般的ですが、この場合通常の内服量の半分の量を最低4カ月間以上、毎日服用します。少量のマクロライドは本来の抗菌作用を期待するのではなく、抗炎症作用や免疫系への作用などを期待して投与されます。この治療法で約7割は改善しますが、約3割の患者さんには効かず、治療に難渋する場合も多いです。

2015年6月9日火曜日

社交不安症


ゲスト/医療法人北仁会  いしばし病院 内田 啓仁 医師

社交不安症とはどのような病気ですか
 近年、ストレス性のうつ病をはじめ、パニック症や広場恐怖症などのストレス関連疾患が急増していますが、社交不安症(社交不安障害・SAD)もその一つです。
 SADは、人前で話をするなど注目を浴びる行動に不安を感じ、顔が赤くほてる、脈が速くなる、息苦しくなるなどの症状が現れる病気です。ちょっと恥ずかしいと思う場面でも、多くの人は徐々に慣れてきて平常心で振る舞えるようになりますが、SADの人は常に「悪い評価をされるのではないか」「笑い者にされるのではないか」という不安感を覚え、そうした場面に遭遇することへの恐怖心を抱えています。SADのため、他人との関わりがつらくなり、不登校や出社拒否、自宅に引きこもるなど、社会生活に支障を来すケースも多いです。
 SADは、比較的若いうち(10〜20歳代)から発症することが多く、症状が慢性化してくると、うつ病など別の精神疾患の合併が問題となります。気持ちの問題か、心の病気か、一見しただけでは見分けがつかないのもSADの特徴的な一面で、「内気な性格」「引っ込み思案」などと思い込み、診療の機会を失ったまま過ごしている人が多い病気でもあります。

治療について教えてください。
 SADの治療法には大きく二つ、薬物療法と精神療法があります。薬物療法では、不安や恐怖を感じる原因とされる脳内物質のバランスを保つ薬・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を第一選択で用いるケースが多いです。そのほか、ベンゾジアゼピン系抗不安薬やβ遮断薬などを併用し、不安時の身体症状の緩和を図ります。精神療法では、物事の受け止め方のゆがみや偏りを気付かせ、修正していく「認知療法」や、不安が生まれる状況にあえて飛び込んで、段階的な目標に沿って徐々に身を慣らしていく「暴露療法」などが有効です。同時に適度な有酸素運動などの生活指導、呼吸法やリラックス法など不安状況への対処法の指導も行われます。
 SADは次第に認知されてきましたが、まだ十分に知られていない病気です。何より重要なのは、SADは治療すれば治る可能性が高い病気だと理解することです。「SADかな」と思い当たることがあれば、思い切って専門医を受診して適切な治療を受けることをお勧めします。

2015年6月3日水曜日

顎関節症


ゲスト/つちだ矯正歯科クリニック 土田 康人 院長

顎(がく)関節症とはどのような病気ですか。
 顎の関節は、耳のすぐ前に人さし指と中指を当てて、口を開閉した時に動く部分です。顎関節症とは、顎の関節や周囲の組織に現れる痛みや障害の総称を言います。主な症状は、口が開かない、口が開きにくい、口を開閉する時にカクカク(シャリシャリ)と音がする、下顎が左右にずれてガクガクする─などがあります。食事が困難になり、日常生活に影響が出るほどの症状に苦しむ患者さんもいます。顎を動かした時の症状が大半ですが、頭痛や耳鳴り、肩凝りなどの諸症状を伴う場合もあります。
 原因としては、歯並びやかみ合わせの異常、歯ぎしりや食いしばり、かみ癖などが考えられます。かみ合わせの異常は歯の詰め物や義歯のせいでも起こり、かみ方が左右どちらかに偏っているケースも少なくありません。また、精神的なストレスが原因となり、症状が現れることもあります。気が付かないうちに歯を食いしばり、顎関節に負担を掛けている場合や、多忙による疲労、不規則な食事・睡眠時間も大きく関係しています。学生が受験を終えたら治った、仕事上の問題など悩み事を解決したら治ったという例もあります。

顎関節症の治療について教えてください。
 症状の程度によって異なりますが、スプリントと呼ばれるマウスピースのようなものを歯にかぶせる治療が一般的です。スプリントを使い、下顎を適切な位置(やや下顎を前方に出した位置)で安定させ、きれいなかみ合わせをつくります。比較的早くに症状は軽減されますが、あくまでも対症療法でしかないため、スプリントを外した時に再発する可能性もあります。スプリントを使いながら、しっかりと根本的な原因を解明し、それを解決することが重要です。例えば、歯並びを矯正したり、かみ合わせや顎のずれを修復したり、場合によっては、口腔内の金属冠を作り替えたりし、かみ合わせが安定するようにします。
 顎関節症は中・高校生から成人にみられることが多く、小学生以下の子どもに発症するケースは少ないです。しかし、子どものうちの悪いかみ合わせや歯並びを放置してしまうと、大人になってから顎関節への悪影響が出る危険性があります。顎関節の診断や治療は専門医の受診が必要です。少しでも不安を感じたら、矯正の専門医にご相談ください。