2015年3月25日水曜日

糖尿病とその合併症


ゲスト/札幌宮の沢脳神経外科病院 三島 慎也 医師

糖尿病とはどのような病気ですか。
 糖尿病は、膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンの働きの不足で、血中にブドウ糖が多い状態が慢性的に続く病気です。大きくはインスリンを作る細胞が破壊されて起こる「1型」と、インスリンが作用しなくなる「2型」などに分類されますが、国内の患者の95%以上は2型で、遺伝的な体質と過食や運動不足など生活習慣が原因とされます。
 糖尿病は、血糖値がかなり高くなるまで、喉が渇く、多尿といった症状が乏しいため、病気に気付かない人も少なくありません。しかし、高い血糖値を放置していると、全身の血管に障害が起き、さまざまな合併症が現れます。細い血管では、網膜症、腎症、神経障害の3大合併症が起き、失明や透析、下肢切断になる例もあります。また、太い血管では動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中を引き起こします。現在では、脳梗塞は糖尿病の「第4の合併症」といわれるほどになっています。糖尿病があると脳梗塞の発症リスクが約3倍に増加することが分かっています。
 合併症を発症すると、日常での生活の質を損なうだけでなく、時には生命の危険にさらされます。早期発見と適切な治療開始でいかに合併症を予防するか、進行させないかが、糖尿病治療の最大の目的になります。

糖尿病治療の重要性について教えてください。
 厚生労働省の調査では、平成24年時点で糖尿病が強く疑われる人が約950万人に達し、その可能性がある予備軍を含めると約2050万人に上ると推計されています。一方で、健康診断などで「血糖値が高く、治療が必要」と言われながら、治療を受けていない人は約35%にも上ります。未治療の人が多い背景には、糖尿病はすぐに命に関わる病気ではないという誤解があります。
 繰り返しになりますが、糖尿病は細小血管ばかりでなく、太い動脈にも影響し、命を落とすことになりかねない怖い病気です。そして、合併症を防ぐには糖尿病の早期発見・治療が何より大切です。もっと多くの人に糖尿病についての正しい知識を身に付けてもらうとともに、一度も検査を受けていない人や、高血糖を放置している人に、健診の受診、通院の必要性を理解してもらうことが、まず大事です。

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