2015年1月21日水曜日

ストレス社会と女性の健康


ゲスト/医療法人社団五稜会病院 千丈 雅徳 院長

ストレス社会に生きる女性にアドバイスをお願いします。
 現代社会はストレス社会ともいわれるように、男女を問わず多くの方がさまざまなストレスを感じて生活していますが、特に社会で活躍している女性の皆さんは、身体的にも精神的にも、今までに直面していなかったようなつらさと向き合っているケースも多いようです。女性閣僚の積極的な登用など、女性の活躍が当たり前として受け入れられるよう社会の価値観は変わってきましたが、長い歴史の男性社会の中で、女性が強く生き抜いていくためには多大なストレスと付き合っていくことになります。適度なストレスはやる気を促進しますが、余計なストレスは不安や緊張を高め、抑うつ状態を引き起こすきっかけにもなります。では、毎日のストレスをため込まないようにするには、どうすればいいのでしょうか。
 まず、何が原因なのかを問題視すること、己の現実を知ることです。そのためには、どんな事で悩んでいるのか、感じた事を書き留めてみることをお勧めします。これは病院でも広く行われている方法で、「認知行動療法」と呼ばれる心理療法の一つです。イヤな気分を感じた時の状況、その時に自分はどんな気分になったか、その時に自分はどうすればいいと思うか、なぜ思い通りに物事が進まなかったと思うかなどを書き出し、その結果、自分の気持ちがどう変わったのかも書き表します。書くことで自分を客観的に見つめ直し、不安や緊張、抑うつ的なマイナス思考からギアチェンジして、プラス思考へと変わっていくことが期待できます。

不安やストレスをため込まない方法は他にもありますか。
 書くことが苦手な方は、自分に合った解決法を見つけなければいけません。広く実践されているのは、音楽で気分転換することです。心地よい音楽は、ストレスを和らげる効果があります。
 人間関係においては、嫌いな相手ほど笑顔で接することです。嫌いな人を好きになるのは難しいですが、笑顔で接していれば不思議と今以上に嫌いになることはありません。簡単にできることなので、やってみる価値はあります。また、家庭や職場、友人といる時は、他人の悪口や愚痴などに付き合わない方がいいでしょう。陰口を聞いているうちに、言っている人のイヤな感情まで自分が引き受けてしまうことになるからです。仕事上の問題を分かち合うチームプレーや、何でも言い合える友情は大切ですが、悪口や陰口は禁物です。このあたりは、微妙なバランス感覚が求められます。
 気分の切り替えも大事です。仕事中にイライラしたら、ロッカールームやトイレなどで一人になって深呼吸すると心をリセットできます。休日ほどイライラが募るという人も多いですが、何か無我夢中になれる趣味があると助けになります。園芸、手芸、俳句、スポーツジムなどいろいろありますが、たくさんは必要ないので、まず一つをゆっくりと見つけていきましょう。
 病気にならないためにも、ストレスをしなやかにかわせる柔軟さを身に付けた女性になっていただきたいです。

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