2014年9月10日水曜日

高齢者のめまい


ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 医師

めまいについて教えてください。
 脳神経外科の外来では、めまいを訴えて受診される患者さんが多くいらっしゃいます。初めて経験するめまいは、本人にとっては恐ろしいものです。「天井がぐるぐる回った」「後ろに倒れそうになった」「地震かと思った」「立ち上がったら目の前が暗くなった」などの症状を「めまい」として表現されることが多いようです。その訴えの中にはさまざまな原因が考えられます。
 症例として多いのは内耳障害によるめまいですが、脳の障害で起こる怖いめまいとの鑑別が重要です。症状の強さだけで判断することは禁物です。言葉のもつれや手足の脱力、しびれなどがめまいとともに出ているようなら、脳の障害が疑われます。中には非常に鑑別の難しいめまいもあります。脳の障害によるめまいは極力早く診断し、治療に入る必要がありますが、その際にはMRIによる診断が有用です。

高齢者のめまいはどのような特徴がありますか。
 高齢者は、加齢に伴い平衡感覚や血圧を調節する能力が衰えているので、めまいを起こしやすいです。高血圧や糖尿病などの持病を抱えていることも多く、それらの薬の副作用などでめまいを起こすこともあります。
 高齢者のめまいは、原因を簡単に明らかにできないケースも多いです。例えば、もともと耳鳴りや難聴がある場合のめまいは、必ずしも内耳に原因があるとはいえません。
 起立性低血圧とは、座った状態から立ち上がった時に血圧が低下する状態をいいます。若い人であれば顔が青ざめ、冷や汗が出て、失神してしまう場合もあります。高齢者はこのような激しい反応は起こりにくいとされていますが、反対に少し血圧が下がっただけでもめまいを起こしやすくなります。高齢者は血圧を一定に保つ自律神経の働きが衰えているからです。
 暑い時期は汗をかきやすく、脱水状態になりめまいを起こすこともあります。高齢者はのどの渇きを感じにくくなるため、脱水状態になりやすいです。夜間にトイレに行くのを減らそうと水分補給を控えることがありますが、脱水の予防を考えると好ましくありません。入浴や就寝前にはコップ一杯の水を飲むようにしましょう。
 漢方薬がめまいの症状に有効なことも多いです。長引くめまいに悩まされている人は、ぜひ一度専門医にご相談ください。