2014年9月3日水曜日
依存症
ゲスト/医療法人 耕仁会 札幌太田病院 太田 健介 院長
依存症とはどのような病気ですか。
依存症は、ある対象物の使用をコントロールできなくなってしまい、社会生活に支障を来たす病気です。飲酒のコントロールが効かなくなるアルコール依存症、危険ドラッグ(脱法ドラッグの新呼称)など薬物依存症、スマートフォンやゲームを長時間使いすぎることで睡眠不足や成績低下など日常生活に支障が出たり、イライラしやすいなどの禁断症状があらわれたりするネット依存症など、さまざまな依存症が社会問題として注目されています。
若年層や女性のアルコール依存症が増加しています。特に、未成年者の飲酒は発達途上の脳への障害が大きく、ほんの数年で依存症になってしまう危険性があります。また、高齢者のアルコール依存症も増加傾向にあり、特に認知症との合併は臨床的にも大きな問題となっています。
危険ドラッグによる深刻な依存症も、若年層を中心に急増しています。物によっては覚せい剤より強い毒性、幻覚・興奮作用があり、入院治療が必要になることが多いです。
厚労省は、ネット依存症の疑いのある成人は約2.6%(270万人)にのぼると推計し、女子中高生の9.9%、男子中高生の6.4%がネット依存の疑いありとしています。依存が進むと、昼夜が逆転する睡眠障害や不規則な食事による栄養失調を引き起こすほか、学校を休みがちになり、引きこもりにつながるケースも見受けられます。
依存症の診断と治療、予防について教えてください。
依存症の判断基準はいろいろありますが、代表的なものとして「価値観の逆転」があります。大切にしていた家族や仕事、自分の健康より依存の対象となる事柄を優先させる状態のことです。依存症になってしまったら、自分一人の力で抜け出すのは困難です。自らを依存症と気付き、回復を求めなければ、さらに悪化していくことが避けられません。
治療は薬物療法や認知行動療法、集団治療、自助グループへの参加などにより、依存に歯止めをかけ、依存の対象となる事柄に頼らない生活を目指します。他の病気と同じように、軽いうちに治療を始めれば、早期の回復が可能です。重要なのは、病気だと自覚し、正しい知識を得て、有効なやめ方を実践することです。
依存症の一番の予防は、病気について正しく知ること。依存症は、自らの人生を破綻に導き、周囲をも傷つける進行性の深刻な病気であると理解することが大切です。
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