2014年3月19日水曜日

多焦点眼内レンズによる白内障治療(眼科領域の先進医療


ゲスト/大橋眼科 大橋 勉 院長

白内障の眼内レンズについて教えてください。
 白内障は目のレンズに当たる水晶体が濁る病気です。治療には点眼薬が投与されますが、最終的には手術が必要で、濁った水晶体を摘出して人工眼内レンズに入れ替えます。
 日本で使われている眼内レンズの多くは、近く、あるいは遠くの1カ所に焦点を合わせた単焦点眼内レンズです。濁りがなくなるため、見やすく、視界が明るくなりますが、近くか、遠くにしかピントが合わず、メガネを手放すことができませんでした。それを解消しようと生まれたのが多焦点眼内レンズです。

多焦点眼内レンズとはどのようなものですか。
 1枚のレンズに遠距離、近距離の両方に焦点が合うように設計された眼内レンズです。自由にピントを変えられるわけではありませんが、遠くにも近くにもメガネなしで焦点が合いやすくなります。場合によってはメガネを必要とすることもありますが、頻繁に掛け外しをする煩わしさからは解放されます。術後は見え方に慣れるまで数カ月かかる人もいます。夜間の光をまぶしく感じたり、暗い場所ではくっきり感が落ちたりするなどの弱点もあり、全ての人に適しているわけではありません。
 多焦点眼内レンズは2007年に厚生労働省に認可され、08年に先進医療として承認されました。先進医療とは、厚生労働大臣が保険適用外の先端的な医療技術と保険診療との併用を、一定の条件を満たした施設のみに認める医療制度です。先進医療施設に認定された医療機関で、多焦点眼内レンズによる白内障治療を受ける場合、術前術後の診察などに保険が適用となります。また、民間の生命保険の先進医療特約の対象ともなり、先進医療に係る費用が全額給付されるケースもあります。
 近年、従来の眼内レンズでは矯正不可能であった乱視も、白内障手術と同時に治せるようになりました。乱視矯正機能を持たせた多焦点眼内レンズは、今春にも厚労省から認可が下りる予定です。従来の多焦点眼内レンズの弱点を改善し、見え方の質を向上させたレンズや、遠近に加えて中間距離にも焦点の合う三焦点眼内レンズも登場しています。眼内レンズが進化し、白内障手術は患者さんのライフスタイルに合わせた治療の選択ができるようになり、視力の質をより一層重視する新しい時代に入ってきました。