2014年1月15日水曜日

精神疾患からの復職


ゲスト/医療法人社団 正心会 岡本病院 岡本 呉賦 院長

精神疾患による休職者の職場復帰が大きな課題となっていますね。
 成果主義の広まりや長時間労働のストレスで、うつ病など心の病を訴える人が増えています。一方で、国は精神疾患の患者の雇用を義務化する動きを強めており、職場へのスムーズな復帰支援が大きな課題となっています。
 厚生労働省の研究では、病気が回復し、復職しても1年以内に約3〜5割が再発し、再休職したとのデータがあります。職場に復帰しても「みんなに迷惑を掛けた」「もっと頑張らないと」などと考え、自ら重圧をかけてしまったり、病気の回復レベルと職場が求める仕事レベルにギャップが生じ、頑張りすぎて心身ともに消耗したりで、再発や休職を繰り返すケースが目立ちます。
 近年、精神疾患の患者の職場復帰を支援する「リワーク」が広まっています。職場に見立てた疑似オフィスに患者が通い、復職訓練を行うものです。内科や外科の病気と同様、心の病にも復職前に一定のリハビリが必要です。長期間の療養中に体力が落ち、生活のリズムが崩れたり、従来の仕事をこなすために必要な集中力や記憶力が低下したりしているケースが多いからです。リハビリの内容は病気により異なりますが、復帰予定の業務に合わせた作業やコミュニケーションの訓練、体力回復のためのスポーツなどを通して、心と体を徐々に仕事に慣らしていきます。単に職場に戻るためだけではなく、再休職を防ぐのも大きな狙いです。

職場復帰にあたってのポイントを教えてください。
 復職や再発防止には、職場の理解と協力が欠かせません。職場の上司や人事担当者などに来院してもらい、患者と主治医、看護師や精神保健福祉士などのスタッフが同席し、病状の回復具合について情報共有を図る場を設け、じっくりと話し合うことが重要です。患者が何をどのようにできるところまで治ったのか、課題として残っているのはどんな部分かを会社側に説明し、慣らし出社やリハビリ勤務など復職後の働き方や、職場環境の調整などについて考えていきます。その上で、復職に向けたスケジュールを作成し、作業訓練などのリハビリをスタートさせます。
 心の病は誰もがかかり得る病気です。職場全体が精神疾患や心の健康について正しい知識を持ち、そうした人たちをそばで温かく見守り、支えていく仕組みを整備することも大切です。