2013年12月25日水曜日

むくみ(浮腫)


ゲスト/つちだ消化器循環器内科 土田 敏之 院長

むくみについて教えてください。
 足の甲やすねを押すとへこんで、すぐには元に戻らない。顔やまぶたが腫れぼったくなる。こういったむくみのことを、浮腫といいます。
 むくみとは、何らかの原因で体の水分が異常に増えて、皮下組織(皮膚の下部・血管の外)に余分な水分(血しょう成分)がたまった状態です。原因疾患はさまざまですが、健康な人でも長時間の立ち仕事をしたり、同じ姿勢で座ったままでいたりすると、むくみが起こることがあります。重力の影響で、心臓より低い場所の血液は戻りにくいため、下腿には血がたまりやすいからです。

むくみの原因にはどのようなものがありますか。
 一般的に、むくみの主な原因は次のようなものが挙げられます。
①特発性浮腫…特定の原因が見つからないむくみです。女性に多く、女性ホルモンの影響やストレスなどの関与が指摘されています。②肥満性浮腫…肥満の人(標準体重を20%以上超えている人)は代謝が悪くなっているため、むくみが起こりやすくなっています。③慢性静脈循環不全…下肢静脈瘤(りゅう)や静脈血栓症などによる静脈のうっ血が原因です。④薬剤性浮腫…鎮痛剤、ホルモン剤、降圧剤、漢方薬の副作用としてむくみが生じることがまれにあります。⑤心不全…心臓の血液のポンプ作用の低下に伴い、毛細血管の内圧が上がり、血管内の血液から水分が漏れてきます。これが高齢者に多い心不全によるむくみです。⑥腎臓病…ネフローゼ症候群や腎不全に伴う腎性のむくみです。腎臓の尿を作る働きが低下すると、水分や塩分が排せつされないまま体内に残るからです。⑦甲状腺機能低下症…甲状腺の機能が低下し、全身にむくみが現れます。女性に多く、倦怠(けんたい)感や便秘、体重増加などの症状も見られます。⑧膠原(こうげん)病…女性に多く、むくみのほかに微熱や関節痛を伴うことがあります。⑨栄養障害…加齢やうつ病、がんなどの病気で食事が取れなくなり、血液中のタンパク質が低下した状態のときに起こります。
 このほか、じんましんの一種や肝硬変などの肝臓病、極度の貧血でもむくみを生じることがあります。症状が出ているのに放っておくと、深刻な事態に陥る可能性があるのがむくみです。むくみを発見したら、病気のサインと考え、できるだけ早めに医師に相談することが大切です。

2013年12月18日水曜日

婦人科クリニックでできること

ゲスト/札幌駅前アップルレディースクリニック 工藤 正史 院長

婦人科クリニックの診療内容について教えてください。
 婦人科クリニックで行う検査などについて簡単に説明します。施設によってはできない項目がありますので、受診前にご確認ください。
 検査には、子宮頸(けい)がん、子宮体がんの検査、子宮頸がんの原因とみられるHPV(ヒトパピローマウイルス)を持っているかのリスク検査、HPVの型判定の検査などがあります。また、子宮頸がん検診で異常所見が見られた場合、精密検査として組織診を行います。
 超音波検査は、子宮筋腫や卵巣の腫瘍の有無など多くの情報が分かる大事な検査です。膣(ちつ)おりもの検査では、一般細菌、性感染症の原因菌を調べます。近年、性感染症の中で増加しているのが尖圭(せんけい)コンジローマです。治療が非常に困難で、完治までに長い治療期間が必要となります。
 B型・C型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、梅毒とヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染は、血液検査で分かります。HTLV-1は、特に妊婦の方の母乳感染に注意が必要です。
 そのほか、妊娠判定と妊娠経過のフォロー、風疹の抗体検査、インフルエンザや子宮頸がんの予防接種なども行っています。また、膀胱(ぼうこう)炎の治療も婦人科で受けられます。

ピルの処方、不妊症治療などについて教えてください。
 緊急避妊用ピルと低容量ピルの処方があります。低容量ピルは、避妊効果だけでなく、月経痛の軽減や肌トラブルの改善などの目的でも効用を発揮するほか、旅行や試験などのスケジュールに合わせて月経の時期を調節できます。また、卵巣がんや子宮内膜症、骨粗しょう症などに対して予防効果があるとされています。
 不妊治療は、精液所見の異常などを調べ、排卵期を予測して性生活を持つタイミング療法や、人工授精、体外受精などの方法を取ります。また、血液検査(AMH:抗ミュラー管ホルモン)で卵巣年齢(卵の数)が分かります。
 思春期に多い月経困難症や月経不順は、血液検査によるホルモン検査の確認が必要な場合があります。また、更年期障害には、女性ホルモン補充療法や漢方療法などを行います。高齢者の寝たきりの原因の第2位は、骨粗しょう症による骨折です。健康な骨を維持するためにも定期的な骨密度検査の受診をお勧めします。女性には年代特有の病気、問題が数多くありますので、かかりつけの婦人科クリニックを見つけることが大切です。

2013年12月11日水曜日

パニック発作への対処

ゲスト/時計台メンタルクリニック 木津 明彦  院長

自律神経とパニック障害の関係について教えてください。
 皆さんがよく耳にする自律神経とは、手足などを動かす体性神経とは対照的に、循環、消化、発汗といった自分の意志によらない機能を制御する神経です。自律神経は交感神経と副交感神経に分類され、それぞれまったく逆の働きをしています。
 交感神経系は昔から「闘争か逃走か」の神経といわれ、怒りや恐怖、不安、緊張が生じるときに作動します。交感神経が興奮すると心臓の拍動が高まり、血圧は上がり、呼吸が速くなります。体温を高めて筋肉を緊張させ、闘争や逃走の態勢を整える役割を果たします。
 交感神経の活動は、本来私たちを外敵から守るための反応です。これがなければ、動物も人もサバイバルできません。しかし、必要のないときに交感神経が興奮してしまうのは厄介なことです。例えていうなら火事ではないのに警報器が鳴るようなものです。このような病態の一つがパニック障害です。

パニック発作の対処法について教えてください。
 パニック障害は、ある日突然、動悸(どうき)や呼吸困難などの発作が起こり(パニック発作)、その発作が何度も繰り返される病気です。発作自体は短い時間で治まりますが、「また発作が起きるのではないか」という不安感に襲われ、それが新たな発作を引き起こすという悪循環に陥ってしまいます。
 自分でできるパニック発作の予防は、交感神経が興奮しやすい状況を作らないことです。カフェインなどの刺激物を控え、鉄や亜鉛などのミネラルをしっかり取ること。糖分の取り過ぎにも注意し、高血糖に引き続く低血糖にならないような食生活を心掛けてください。適度の運動や疲れをためないことも大切です。
 病気についての正しい知識や不安を増幅させない心の持ちようも効果があります。発作が起きても「これは警報器の誤作動。決して死ぬわけじゃない」と判断できれば、あわてて救急車を呼ぶことはありません。
 発作が繰り返されるとき、不安が強いときは医療機関で診てもらいましょう。受診の際は、心療内科、精神科、内科、婦人科など、必要に応じた診療科を選ぶことが重要です。初診時の問診は、心の症状が身体的な問題から生じていないかなどを判断する大切な情報になります。普段の食生活、貧血の既往、糖尿病の家族歴、月経の状態などを把握しておくことが望ましいです。