2013年8月21日水曜日

精神疾患の薬物療法


ゲスト/医療法人社団 正心会 岡本病院 瀬川 隆之 医師

精神疾患の薬物療法について教えてください。 
 統合失調症やうつ病など心の病気には、脳内の神経伝達物質が大きく関わっています。薬物療法とは、その神経伝達物質の調整や改善を薬によって行う治療法です。精神科で専門的に使う薬には、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などさまざまな種類があり、それらを状態に応じて組み合わせて処方します。
 統合失調症や躁うつ病の治療では薬物療法が必要であり、カウンセリングなどの精神療法は補助的な役割を果たします。パニック障害や強迫性障害など神経症の治療でも、薬物療法と精神療法が併用されますが、症状によっては精神療法だけで治療を続けることもあります。
 精神科で処方される薬には、副作用が強い、依存性があるなどあまり良くない印象を抱いている人が多いかもしれません。しかし、それらの中には誤解も含まれています。眠気や口渇、便秘などの副作用がみられることもありますが、薬の種類や量を調節することで軽減できますし、医師の指示通りに飲む限り、中毒の危険性は低いといえます。
 医学の進歩に伴い、新しい薬も登場し、薬物療法の選択肢は広がっています。主治医とよく話し合い、できるだけ多くの情報を得て、十分に理解したうえで服用することが大事です。

薬物療法の注意点を教えてください。
 患者さんの症状を目安にして適切な薬を選択しますが、一人ひとりに合った薬の種類を決めるには、ある程度の試行錯誤が必要な場合もあります。また薬は、最初は少量から始め、効果と副作用のバランスを見ながら少しずつ量を増やしていきます。短時間型の睡眠薬など即効性のある薬もありますが、服用してから効果が現れるまでに数週間以上かかる薬もあります。すぐに「治らないのでは」と焦らずに、根気よく治療を続けていくことが肝心です。
 治療が長くなると、精神状態が一時的に安定した時に「もう薬を飲まなくても大丈夫」と自分で勝手に判断し、服用をやめてしまうケースがあります。薬は決められた量を、継続して服用することが重要で、服用をやめてしまうと、離脱症状が出現したり、病気が再発したりする原因にもなります。
 心の病気は、薬と継続通院による管理が大切。患者さん本人の努力はもちろんですが、治療を続けられるよう家庭や職場など周囲の人たちの協力も不可欠です。