2013年1月16日水曜日

自律神経失調症


ゲスト/医療法人五風会 さっぽろ香雪病院 尾形 マリ 医師

自律神経失調症とはどのような病気ですか。
 人体が健康な生命活動を行っていくために、その人が意識しなくても体を上手に働かせている神経のことを自律神経といいます。例えば運動をしているときは、「さあ、筋肉に十分酸素を送るぞ」と思わなくても呼吸が速くなり心臓は活発に拍動しますし、ご飯を食べたときには「さあ、消化するぞ」と思わなくても胃液が出て胃袋が動きます。これが自律神経の役割です。自律神経には交感神経と副交感神経と呼ばれる神経があり、この両者が必要に応じてバランスよく働くことで日々の生命活動を維持しています。
 しかし、先ほどお話ししたように、自律神経は自分の意思で完全に制御することができないので、頑張りモードの作動ばかりを長期に強いられた時などに、その調節がうまくいかなくなり、全身にさまざまな症状が出ます。これが自律神経失調症と呼ばれている現象です。運動をしていないのに動悸(どうき)がする、食べ過ぎでもないのに胃腸の具合が悪い、暑くもないのに汗が出る、その他、全身のあちこちにつらい症状がたくさんあるのに検査では異常がないとされる場合にこの病名が使われることが多いようです。
 ただし、「自律神経失調症」というのは正式な病名ではなく、状態を表す言葉です。「自律神経失調症」が見られたときは、うつ病などの心の病気が隠れていないかをチェックすることも大切です。うつ病かどうかを自分で見極めるのはとても難しい事です。体調が悪いのは疲れているから、仕事がはかどらないのは自分の頑張りが足りないからと思いこんでしまう場合が多いからです。

自律神経失調症の治療について教えて下さい。
 うつ症状が明らかなときは抗うつ薬を使いますが、さまざまなつらい症状には漢方薬による治療も有効です。多くの漢方薬は現代医学のお薬同様、保険が効きます。症状によっては保険外の生薬が必要なこともありますが、保険の効くお薬と組み合わせて費用をなるべく抑えることも可能です。
 「自律神経失調症」は、よくこれまで頑張りましたね、少し心身をいたわりませんか、というサインです。これを治療することで将来かかるかもしれない病気を予防できるかもしれません。「自律神経失調症状」が続くときは、検査で異常がなかったからと、つらい症状を我慢せずに相談されることをお勧めします。