2012年11月14日水曜日

ウイルス性胃腸炎


ゲスト/医療法人社団 いし胃腸科内科 石忠明院長

ウイルス性胃腸炎とはどのような病気ですか。
 微生物の感染を原因とする胃腸炎の総称を「感染性胃腸炎」といいます。感染性胃腸炎は、O-157(病原性大腸菌)やサルモネラ菌などの細菌を原因とする「細菌性胃腸炎」と、ノロウイルスなどのウイルスを原因とする「ウイルス性胃腸炎」の二つに大きく分けられます。いずれも主な症状は嘔吐(おうと)、下痢、腹痛、発熱などです。1年を通して発症しますが、細菌性胃腸炎は夏季に、ウイルス性胃腸炎は冬季を中心に流行し、集団生活の場で大規模に流行することもあります。
 ウイルス性胃腸炎の代表が、ノロウイルスとロタウイルスによるものです。両者ともウイルスが人の手などを介して、口に入った時に感染する可能性があります。ノロウイルスによる胃腸炎は、カキなどの二枚貝がノロウイルスに汚染され、感染源になると考えられていますが、料理を食した際以外にも、調理器具や食器、調理した人の手、嘔吐物、便などからも感染が広がります。ロタウイルスによる胃腸炎は、乳幼児に多くみられ、大人もかかることがあります。
 ウイルス性胃腸炎の多くは数日で回復します。しかし、乳幼児や年配の方は、嘔吐、下痢などによる脱水で病態が悪化する恐れがあるので、早めに医療機関を受診することが大切です。

ウイルス性胃腸炎の治療と予防について教えてください。
 治療は、ウイルスには抗生物質が効かないため、整腸剤の処方や点滴による水分・栄養補給など、症状を軽減するための対症療法が行われます。感染が疑われる場合、周囲に感染を広げないよう、数日は仕事や学校を休む必要があります。自宅では、小まめな水分補給で脱水を防ぎ、安静に努め、回復期には消化の良い食事を取るよう心掛けましょう。基本的には自然に治まっていくのを待つしかありません。
 ウイルスから身を守るのに最も有効なのは、外出後や調理・食事前、トイレの後などに、石けんを使った手洗いを励行することです。家族に患者さんがいる場合には、二次感染を予防するために、嘔吐物や便を処理する際にビニール手袋、マスクを使用するなどの注意が必要です。タオルも家族と共有しないようにしましょう。症状が落ち着いても、しばらくは便へのウイルスの排出が続くため、患者さんの入浴は、最後にするようにしてください。