2012年7月18日水曜日

関節リウマチのトータルマネジメント


ゲスト/佐川昭リウマチクリニック 佐川 昭 院長


関節リウマチのトータルマネジメントとはどういうことですか。
 「関節リウマチのトータルマネジメント」という言葉が、昨今よく用いられるようになってきました。これは、関節リウマチ治療に関するいくつかの側面を言い表しています。一つは、関節リウマチの治療には単に薬物療法や手術療法、リハビリテーションといった治療手段だけではなく、基礎療法といわれる教育や指導、さらには日常生活のケアを含んだ多面的なアプローチが必要不可欠であるということ。もう一つは、関節リウマチは全身性で病態が多様であるため、医療現場において医師や看護師だけでなく、薬剤師、栄養士、理学療法士、作業療法士などさまざまな職種が連携したチーム医療が求められていることを示しています。また、関節リウマチは、感染症や合併症の悪化、薬の副作用が一部の患者に起こり得るため、入院設備の整った医療機関との連携も必要であり、同時に、整形外科や呼吸器科、消化器科との連携も重要であること。さらには、患者が安全・安心に治療を継続し、生活の質を向上できるように、往診や訪問看護、在宅指導などを行う地域医療機関やケアマネージャーとの連携が欠かせないことも意味します。

関節リウマチの治療の現在とその課題について教えてください。
 関節リウマチは、日本では60〜70万人の患者がいると推定されています。患者の男女比では、女性が男性の3倍ほどです。発症年齢は30〜60代が最も多いのですが、若い人でも発症することがあります。
 新しい診断基準や診断技術の進歩、生物学的製剤の登場によって、関節リウマチは早期に発見し、早期に適切な治療を開始すれば寛解(症状が落ち着き進行しない状態)も目指せるようになってきました。とはいえ、生物学的製剤での治療効果が望めない患者もいまだ数多く、長期にわたった定期的かつ手厚い診療を必要としています。また、生物学的製剤の適応なのに、専門医が不在、副作用に対処する医療連携ができていない、コメディカル(医師と協同して医療を行う医療従事者)が力を発揮できていない、などの理由で使えないこともあります。さらに、高額な薬剤費が掛かることから、患者さんへの負担も大きくなっており、関節リウマチの治療にはまだ克服していかなければならない課題も多く残されています。