2012年5月23日水曜日

脳梗塞(こうそく)について


ゲスト/コスモ脳神経外科 小林 康雄 院長


脳梗塞について教えてください。
 脳梗塞は虚血性の脳卒中で、脳の血管が血栓などによって詰まったり、動脈硬化によって血管が狭くなるなどして起こる疾患です。その背景となるのは基本的には、メタボリック症候群です。内臓脂肪が過剰になると、糖尿病や高血圧症、高脂血症といった生活習慣病を併発しやすく、動脈硬化が急速に進行します。
 脳梗塞の症状としては、半身不随、半身麻痺、しびれ、感覚の低下、手足の運動障害、意識障害、言語障害、昏睡などが挙げられます。突然起こる場合が多いのですが、場合によっては予兆となる症状があります。半身のしびれ、口のもつれなどで、このような症状が表れた場合は、迅速にかかりつけ医の指示をあおぐか、脳神経外科へ直行することをお薦めします。発症後3時間以内であれば、血栓や塞栓(そくせん)を溶かす薬を使って治療します。効果があれば、比較的後遺症が軽くすみます。投薬治療ができない場合は手術となりますが、この場合も治療までに要する時間が短いほど、後遺症を軽くすることができます。いかに迅速に治療を始めるかが、予後に大いに関係してきます。
 
脳梗塞を予防するにはどうすればいいですか。
 30代、40代で動脈硬化が始まりますから、会社などの健康診断でメタボリックシンドロームの兆候があれば、普段の生活習慣を見直しましょう。食事は塩分を控え日本食中心にし、適度な運動、禁煙、節酒を心掛ける。ストレスや寝不足などで疲労が蓄積しないように規則正しい生活を目指しましょう。
 また、健康診断で不安要素があったり、動脈硬化症の近親者がいる場合は、一度「脳ドック」を受けることをお薦めします。レントゲン検査で頭と首の健康状態を調べ、MRI(磁気共鳴画像装置)で脳の断層写真を撮り、MRA(磁気共鳴血管造影)で血管の狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)部分・脳動脈瘤(りゅう)の発見、動脈硬化の程度などを調べます。健康保険の適用外になりますが、1~2時間程度で受けられます。脳梗塞は一度発症すると命にかかわり、後遺症の影響も大きい疾患です。自分の健康・生活を守るためにも、予防を心掛けましょう。

2012年5月16日水曜日

思春期のメンタルヘルス


ゲスト/医療法人五風会 さっぽろ香雪病院 江川 浩司 診療部長


思春期のメンタルヘルスについて教えてください。
 思春期(おおむね10〜18歳の中高生)は、第二次性徴がみられ、心と体が子どもから大人へと変化・成長する時期です。一方で、心と身体のバランスが不安定になりやすく、さまざまな問題が生じやすい時期でもあります。
 情報過多の現代社会では、情報が複雑に操作され、何が正しく何が間違っているのか、大人でも判断が難しい状況です。情報の意味の伝わり方が必ずしも正確なものとはならない場合も多く、まだ心身ともに未熟な子どもにとっては誤解につながることも多いようです。迷いや不安、混乱や絶望など、そうした思いと常に向き合わざるを得ない子どもたちの精神的なストレスは相当なものです。爆発寸前までストレスを抱え込んでいるのに、うまく言葉にすることができなかったり、また、両親に心配を掛けてはいけないという思いから、なかなか自分の気持ちを伝えることが難しかったりします。

思春期の心の病気への対応について教えてください。
 思春期の問題行動としては、不登校が最も多く、引きこもりや自傷行為、自殺、性的非行などが挙げられます。一過性であることも多いのですが、その裏に精神疾患が隠れている場合もあります。近年、増加傾向にある不登校は、環境不適応などさまざまな要因で起こります。対人関係の困難、学習困難、いじめなどに起因したものや、広汎性発達障害を背景に持つものもみられます。解決、対応方法に一般論はありません。しかし、時間をかければ必ず改善、解決の糸口を見い出すことができます。
 心の病気は、脳の機能不全によって発生するものがほとんどです。つまり、誰にでも起こり得る、ごく普通の病気なのです。例えば、うつ病は風邪のようにありふれた病気であるという意味合いで、「心の風邪」という別名があるほどです。
 心の病気は治療が遅れるほどに、生活への障害が大きくなる傾向がある病気です。また思春期に始まった心の病気は、成人期まで続いたり、再発したりするケースが多いので、一層早期発見・早期治療が重要となります。
 子どもの日々の様子から、おかしな変化を感じられるようになったら、それは子どもが発している「SOS」の信号なのかもしれません。過剰に悲観的にならず、また自分たちだけで解決しようとせず、早めに専門医に相談することをお勧めします。

2012年5月9日水曜日

更年期障害について


ゲスト/札幌駅前アップルレディースクリニック 工藤 正史 院長


更年期障害とはどのような病気ですか。
 30代後半〜40代前半になると、卵巣機能が徐々に低下し始め、50歳前後に「閉経(1年以上の無月経の状態)」を迎えます。閉経年齢が早いか遅いかは個人差があります。閉経をはさんだ前後10年を「更年期」といい、女性ホルモンの分泌量が急激に減少するために、月経異常やのぼせ、火照り、目まい、疲労感、不眠、憂うつ感など、さまざまな症状が出ます。この中で日常に差し支えるようなものを「更年期障害」といいます。
 更年期の女性は骨粗鬆(しょう)症にもかかりやすいとされます。骨粗鬆症による骨折は、脳血管障害に次いで高齢者が寝たきり状態になる原因の第2位となっているので注意が必要です。また、閉経後のコレステロールの上昇が原因で、血管の老化が進み、狭心症や心筋梗塞、脳の血行障害を起こすケースもみられます。
 20〜30代といった若い年代の女性が、一見更年期障害と同じような症状を発症することがありますが、これは真の更年期障害とはいえず、多くの場合ストレッサーが隠されています。ストレッサーとはストレスを与える刺激のことです。


更年期障害の検査・治療について教えてください。
 更年期障害は、身体的要因だけでなく、対人関係、家族の問題などの社会的・環境的要因が複雑に絡み合って起こるとされているので、検査は問診が重要となります。血中のホルモン量を調べるための血液検査や超音波検査なども行います。
 治療は、漢方薬と女性ホルモンを補充する薬物療法が基本となります。加齢とともに減少した女性ホルモンを補い、不足することにより現れる症状を軽減するのがホルモンの補充療法です。閉経以降に起こりやすくなる生活習慣病や骨粗鬆症、予防医学としてのアンチエイジングへの効果も期待されています。
 閉経は女性のライフサイクルの中で必ず起こるイベントであり、更年期は避けては通れない大事な時期です。更年期障害とどう向き合い、改善していくか。まずは一人一人が更年期医学についての正しい知識や情報を身に付ける必要があります。例えば、女性ホルモンの補充療法をどう捉えるかは、その人の考え方や人生観にもよりますが、自分でもしっかり勉強し、ある程度理解した上で、専門医に問い掛けていく姿勢も大切です。