2012年4月18日水曜日

遺糞(いふん)症

ゲスト/札幌いしやまクリニック 樽見 研 医師

遺糞症とはどのような病気ですか。
 遺糞症とは4歳ぐらいから学童期の排せつ機能が自立すべき年代での排せつ障害で、トイレではなく下着の中や床の上など、本来排便してはいけない場所や状況で排便をしてしまうことをいいます。国際的な診断基準では、4歳以上になっても不適切な場所での排便を月に1回以上認め、それを3カ月以上繰り返す状態と定義されています。
 遺糞症の原因としては、慢性的な便秘のほか心理的ストレスが挙げられますが、一般的には便秘を伴うことが多いです。便秘を放置すると排便時に苦痛を感じて排便を我慢するようになります。あるいは、遊びに夢中になるなどして便意を我慢することを続けます。その結果、排便反射が弱くなり、便意を感じにくくなっているため、気付かないうちに便を漏らしてしまうのです。また、肛門を締める筋肉の機能が低下している場合もあります。
 子どもに便秘が起こる原因としては、排便時に緊張して便が出にくくなることや、排便時に肛門を傷つけてしまい、痛みを感じた経験から排便に恐れを持つことなどが考えられます。また、幼稚園への入園、小学校への入学など環境の変化やトイレに行きたくないなどのストレスがきっかけとなって、便秘や遺糞症が起こることも多いです。

遺糞症の治療について教えてください。
 便秘が遺糞症の原因となっている場合には、下剤やかん腸を用いて直腸にたまった便を排せつさせます。一方、子どもの生活習慣の改善も大切で、治療の基本は排便のリズムを取り戻させることになります。毎朝食事をしたら排便を行うといった排便習慣を付けさせることによって、規則的な排便を促します。
 直腸に便をためないようにしていると、次第に直腸の排便反射が戻ってきて、1日分の便量で便意を感じるようになり、自分で排便ができるようになります。1回の治療・指導で可能な子もいれば、数カ月かかる子もいます。
 また、家族など周囲の人間は、子どもが便を漏らしたからといって、いきなり叱りつけてしまうと、かえって逆効果になります。叱らず、焦らず、様子を見ながら排便を促すようにしましょう。子どもが余計なプレッシャーを感じないようにしてあげることが大切です。幼いころのトイレトレーニングの不足、早すぎるトイレトレーニングは、子どもに過度のストレスを与えてしまうケースもありますので注意が必要です。