2011年11月16日水曜日

下肢のむくみ

ゲスト/北海道大野病院附属駅前クリニック 古口 健一 院長

下肢のむくみについて教えてください。
 私たちの体内では、血管の内外で水分の移動が行われ、正常な状態ではその水分量は一定に保たれるような仕組みになっています。しかし何らかの原因により、水分移動がうまくいかなくなり血管外の皮下組織に水分がたまってしまうことがあります。この状態が「むくみ」で、医学的には「浮腫」と言われます。向こうずねや足首周りを指で押した時にへこんだまま戻らないようなら、むくみと考えられます。
 立ち仕事の後などは、靴下の跡がなかなか消えないなど、下肢を中心にむくみを感じる場合が多いものです。足は筋肉の動きで、血液やリンパ液を心臓に送り返しています。静脈で吸収できなかった老廃物は、リンパ液を通すリンパ管に流れます。このリンパ管がスムーズに動かなくなり、水や老廃物が細胞の間にたまることで足にむくみが起こります。足は心臓から遠く、疲れなどで足の筋力が衰えると、血液やリンパ液をうまく循環させられなくなります。さらに、重力の力で水分は下肢へと下がります。このために、ふくらはぎや足首がむくみやすくなるのです。

下肢がむくむ際にはどのような病気が考えられますか。
 下肢だけにむくみが現れる病気としては、下肢の静脈血の逆流による下肢静脈瘤(りゅう)や、リンパ管の閉塞(へいそく)によってリンパ液が停滞するリンパ浮腫などが考えられます。
 足のむくみのほかに、顔や手などにむくみが認められる場合は、全身的な病気を考える必要があります。具体的には心臓病、腎臓病、肝臓病、悪性腫瘍などによる血液中タンパク質の低下、内分泌ホルモン異常などが挙げられます。また、薬物によるアレルギーにも下肢のむくみを伴うものがあります。さらに、心臓や腎臓、肝臓に明らかな病変がなく、また低タンパク血症も存在しないのにむくみをきたすケースもあり、これを特発性浮腫といいます。
 一時的なむくみであれば、軽いストレッチやお風呂などで血行をよくする、就寝時に足を頭より高く上げるなどの方法で解消することができますが、問題は病気が原因の場合です。翌朝になってもむくみが消えない、これといった心当たりがないのに何日もむくみがとれない場合は要注意。重大な病気が隠れていることもあるので、放置せずに専門医に相談することをお勧めします。