2011年11月2日水曜日

好酸球(こうさんきゅう)性食道炎

ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 院長

好酸球性食道炎とはどのような病気ですか。

 好酸球性食道炎は、アレルギーと関係の深い白血球の一種「好酸球」が食道の粘膜に浸潤して炎症を起こし、食道の機能障害や狭窄(きょうさく)などを引き起こす病気です。欧米を中心にここ10年くらいで知られるようになった疾患であり、日本では比較的まれですが、近年男性を中心として患者数が増加しています。原因は明らかではありませんが、一部の例では食物などに含まれる抗原に対するアレルギー反応が原因と考えられています。ぜん息やアトピー性皮膚炎などアレルギー性疾患を合併する頻度も高いです。
 症状は年齢により異なりますが、幼児期では哺乳障害、学童期では吐き気、学童期以降では腰痛、嚥下(えんげ)障害が主にみられます。胸焼けや胸痛を訴えるケースもあります。
 診断は、上記の症状に加えて、血液検査でアレルギー性疾患によくみられる好酸球やIgE(アレルギー反応に関係する抗体)の増加を調べます。また、内視鏡検査で食道の壁が厚くなり、縦方向のしまや白い斑点がみられるかどうか、環状に狭くなる部分があるかどうかを確認します。さらに食道粘膜などの組織検査を経て、確定診断が下されます。

好酸球性食道炎の治療について教えてください。

 治療は、原因と考えられる抗原の除去が基本となります。食事療法として、抗原と疑われる食品を検査して特定し、その食品を除いた食事を指導する方法、検査は行わず一般的に抗原となりやすい食品(乳製品、卵など)を除いた食事を指導する方法、アミノ酸成分栄養食を用いる方法の3種類があります。
 薬物療法として、好酸球による炎症を抑えることを目的に、副作用の少ない局所作用ステロイドが主に用いられます。また、食道の運動機能が低下して胃酸の逆流症状を併発する場合、酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬を補助的に使用することもあります。食事療法、薬物療法で症状が改善しない場合や、食べ物のつかえや嚥下障害が強い場合は、狭くなった食道を拡げる手術が行われることもあります。
 好酸球性食道炎は、逆流性食道炎などの胃食道逆流症(GERD)と診断されやすく、その鑑別が非常に重要です。治療が奏功しないGERDでは、好酸球性食道炎の可能性も考えられますので、早めに専門医を受診することをお勧めします。