2011年9月26日月曜日

アルコール依存症

ゲスト/医療法人五風会 さっぽろ香雪病院 長岡 徹 医師

アルコール依存症とはどのような病気ですか。

 アルコール依存症は、アルコールの持つ依存性によって発病する病気で、薬物依存の一つです。簡単に言えば、飲酒によっていろいろな悪い結果が起こっているにもかかわらず、なお飲み続けている状態です。近年、うつ病による自殺の増加が社会問題になっていますが、その背景にアルコール依存が隠れていることも多く、うつ病、アルコール依存症の両方向からの治療が必要となる場合もあります。また定年後の生きがい喪失から、飲酒量が増えてアルコール依存症と診断される高齢者も増加しています。
 自らの意志で飲酒をコントロールできなくなり、飲酒をしていない時に手の震え、頻脈、発汗、不眠、幻覚などの離脱症状が出ることもあります。毎日の生活がアルコールに支配され、家庭や職場において有害な結果が起きているにもかかわらず、飲酒欲求を抑えることができません。
 アルコールを長期間、多量に摂取すると身体にいろいろな悪影響が出てきます。脳の神経細胞が破壊され、認知機能が低下し物覚えが悪くなったり、アルコール性肝障害として脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変と段階的に肝障害を起こすことがあります。また、うつ病や不安障害などの心の病気を合併しやすいという問題もあります。アルコール自体に抗不安効果があるため、心の病気の人が不安や不眠を理由にアルコールにのめりこんでしまうことも多いです。しかし、アルコール依存症になるほどの多量な飲酒は、不安や不眠を助長し気がつくと心の病気が重症化、慢性化してしまっていることがあります。またうつ病の方がアルコールを多量に摂取することで、衝動的に自殺に及ぶこともあり、アルコール依存症が自殺に関係しています。

アルコール依存症の治療について教えてください。

 アルコール依存症の治療で最も大切なのは、患者自身が「自分はアルコール依存症である」と認めることであり、それが治療の第一歩となります。それと同時にアルコール依存症がどういった病気であるのかという教育が欠かせません。
 治療の目標は「断酒」です。飲酒量のコントロールができない状態ですから、一滴でも口に入れてしまえば抑制がきかなくなりますので、「節酒」は目標にはなりえません。飲酒量を減らすのではなく、アルコールを完全に断ち切らなくてはなりません。飲みさえしなければよいのだと簡単に考えがちですが、一人でこれを実行し続けるのは困難を極めます。専門医での通院・入院治療等を受けるのはもちろん、断酒のモチベーションを維持する上で励ましとなる、家族や友人などの周囲からのサポートも大切です。また同じ目標に向かっている仲間の存在を知り、知識を共有するためにも「AA(アルコホーリクス・アノニマス)」などの自助グループへ参加することが望ましいです。