2011年8月3日水曜日

骨粗しょう症

ゲスト/医療法人社団 中野整形外科医院 中野 達 院長

骨粗しょう症とはどのような病気ですか。
 骨粗しょう症とは、骨の量が減り、質も劣化して骨の強度が低下し、骨折を起こしやすくなった状態です。骨の中では、古くなった骨が吸収され新しい骨が形成されますが、その繰り返しの中で、骨の吸収が骨の形成よりも活発になると、骨がすき間だらけの麩(ふ)菓子のようになる場合があります。
 骨粗しょう症は、女性に多くみられる疾患です。その理由として最も大きなものは、閉経後にホルモンバランスが崩れることと考えられています。そのほか、加齢や体質、極端なダイエットや偏食、喫煙、過度の飲酒などが原因として挙げられます。また、甲状腺機能亢進(こうしん)症や関節リウマチなどの病気、ステロイド剤の長期服用など、特定の病気や薬剤によって起こる骨粗しょう症もあります。
 骨粗しょう症は、一般的に痛みがありません。しかし、ちょっとした衝撃や転倒のはずみで、手首や太ももの付け根の骨を折るなどの危険が生じます。また、高齢の方にみられる「円背(えんぱい)」という背中がまるくなる症状は、背骨がつぶれた際に起こるもので、悪くなると足がしびれたり、歩くのが困難になったりすることがあります。

骨粗しょう症の予防について教えてください。
 骨粗しょう症の予防には、食生活の見直しと適度な運動が重要です。カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質など、丈夫な骨を作るために必要不可欠な栄養素を十分に取るようにしましょう。また、食べ物から摂取した栄養素を骨に蓄え、骨量を増やすには、体を動かすことも大切です。散歩などを習慣にすることをお勧めします。予防していたにもかかわらず、残念ながら骨粗しょう症と診断された場合は、骨吸収抑制剤や骨形成促進剤、ホルモン剤、各種ビタミン剤などそれぞれの病状に合わせた薬剤を選択し、治療を始めます。
 骨粗しょう症では予防がなにより大切です。そして、早期の治療で骨折などのリスクを回避しなければなりません。当院では「FRAX(フラックス)」という今後10年間の骨折リスクを予測する検査が無料で受診でき、また、骨の人間ドックのような、より詳しい検査も保険適応で受けることができます。もしかしたらと思う前に一度検査を受けて、早い段階から行動を起こすことが、本当の「転ばぬ先の杖」といえるのではないでしょうか。

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