2011年5月25日水曜日

血尿

ゲスト/北海道大野病院附属駅前クリニック 古口 健一 院長

血尿とはどのようなことですか。
 血尿とは、尿の中に血液(赤血球)が含まれている状態です。血尿には、大きく分けて、目で見て明らかに血尿と分かる「肉眼的血尿」と、尿の色は正常に見えますが、顕微鏡で検査すると尿の中に血が混じっている「顕微鏡的血尿」があります。健診や人間ドックで「尿潜血が出ています」といわれるのはほとんどが顕微鏡的血尿です。健診や人間ドックでは、およそ5〜12%の人に顕微鏡的血尿が見つかります。
 尿は腎臓で作られ、尿管という細い管を通って、膀胱(ぼうこう)にいったんたまってから、尿道を通って体外に排出されます。この経路のどこかから出血していると血尿になります。そのため血尿のあるときは、経路全体(場合によっては経路以外)のどこかに異常があることを疑って検査を始めます。検査は、まず試験紙による簡易検査で血尿の有無のみならず、白血球やタンパク質、尿糖の有無を調べます。続いて、顕微鏡を使い、実際に赤血球が尿中に存在するのか、一視野中にいくつ赤血球が存在するかなどを確認します。さらに、原因を特定するため、血液検査や腎臓の超音波検査、膀胱鏡を使っての内視鏡検査、CTやMRIによる検査などが行われるケースもあります。

血尿の場合、どのような疾患が疑われますか
 血尿が出るのは、腎臓より上方(腎前性)、腎臓(腎性)、腎臓より下方(腎後性)のいずれかに原因がある場合です。腎前性の血尿では、溶血性尿毒症症候群などの疾患により、赤血球が壊れていることが考えられます。腎性の血尿では、糸球体腎炎のほか、腎のう胞、腎結石、腎盂(じんう)腎炎などの可能性があります。腎後性の血尿では、尿路結石や膀胱炎などの感染症、悪性腫瘍(がん)などが疑われます。そのほか、男性では前立腺肥大症や前立腺がんでも血尿が出ます。
 血尿だけでなく痛みが出る病気であれば、多くの方はすぐに病院に行き検査・治療を受けると思いますが、問題は痛みなどの症状の出ない血尿です。不安に思いながらも、そのまま放置している方もいらっしゃるでしょう。血尿には上記に挙げたように、悪性腫瘍などすぐに治療が必要な重大な疾患が潜んでいる可能性があります。血尿があれば、自己判断せずに早期に腎臓内科、泌尿器科など専門医の受診をお勧めします。

気管支ぜんそく

ゲスト/医療法人社団 大道内科・呼吸器科クリニック 大道 光秀 院長

気管支ぜんそくとはどのような病気ですか。
 気管支ぜんそくは、以前は小児ぜんそくが有名で、ぜいぜいする喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難、せき込みなどを主な症状とする病気でした。はたから見るといかにも苦しそうで、大変そうな病気というイメージがありました。ところが最近ではその症状が大きく変わってきており、せきばかりで呼吸困難や喘鳴が少ないぜんそくが増えています。特に大人のぜんそくは増加しており、呼吸困難や喘鳴はまったくなく、せきだけ続く「せきぜんそく」も増えています。症状は夜間や早朝に多く、日中には改善するので病院に受診した時にはただの風邪と診断される事も多いです。そのため症状からだけでは診断は難しく、肺機能検査をしないと分からない場合が多いです。肺機能検査といっても健康診断で行う肺機能検査とは違って、息を胸いっぱいに吸って一気に吐き出し、1秒間にどれだけ吐けるか(これを1秒量と言います)を調べ、1秒量が肺活量の何%かを調べます。それが70%以下ですと気管支が細いということになります。その後、気管支拡張剤を吸入して、1秒量がどれだけ改善するかをみます。
 気管支ぜんそくは、気道が慢性的に炎症(粘膜の荒れ)を起こす病気です。何らかの遺伝的素因(体質)が関係していることは分かっていますが、根本原因はよく分かっていません。発作を引き起こすものを「誘因」といいますが、よくある誘因は風邪、アレルゲン(ペット、カビ、ダニ、花粉など)やたばこの煙、排気ガスなどです。よく風邪の後にぜんそくになったという人がいますが、これは間違いで、もともとぜんそく体質を持っている人が風邪をきっかけにぜんそくがあらわになったのです。

気管支ぜんそくの治療について教えてください。
 治療は吸入ステロイド薬を主体に使用してコントロールします。重要なことは発作が起きてから治療をするのではなく、普段から吸入ステロイド薬を中心とした治療を行い、気管支の炎症を改善して発作を起こさないようにすることです。ステロイドと聞くと恐い薬という印象があるかもしれませんが、吸入ステロイド薬は副作用が少なく、ぜんそくのコントロールに効果的です。ひどい発作の場合は、点滴や内服でステロイド薬を使用しますが、こちらは長く使用すると副作用があるので好ましくありません。
 現状ではぜんそくという病気は根治が難しいですが、吸入ステロイド薬を使うことで症状をコントロールすることはできますし、スポーツも普通にできます。吸入ステロイド薬を使っていなかったころはぜんそくで亡くなる患者さんが年間1万人くらいいましたが、吸入ステロイド薬を使うことで最近では2000人くらいまでに減っており、その多くは吸入ステロイドを使っていなかった患者さんです。ぜんそくの症状を放置しておくと気管支が細くなり、肺の機能が落ちて回復しづらくなります。こうなると症状が改善しづらくなり、日々の生活に支障がでてきます。日々のコントロールが大切です。

2011年5月11日水曜日

緑内障診断の大きな進歩

ゲスト/ふじた眼科クリニック 藤田 南都也 院長

緑内障とはどのような病気ですか?

 緑内障とは、眼圧の上昇などにより網膜が圧迫され、視野が狭くなる病気です。40歳以上の日本人の20人に1人が緑内障だとわかっています。原因は遺伝的な要因が大きく、加齢と共に症状が出てきます。血縁関係者に緑内障患者がいる人は特に注意が必要です。
 現在の医療技術では緑内障によって一度失われた視界を戻すことはできません。そのため、治療は視野の減少を抑えることが目的となります。点眼薬で眼圧をコントロールし、進行を抑えていきます。以前は内服薬や手術が必要になる場合もありましたが、効果の高い点眼薬の出現により、最近は少なくなっています。
 緑内障は目の痛みや充血、瞳の色の変化などの自覚症状がなく進行するため、末期の状態になるまで、視野が狭くなるなどの症状が現れません。そのため、患者さん自身が病気であることに気付かず、最悪の場合、失明に至る恐れがあります。そうならないためにも、定期的に検査を行い、早期発見・治療を開始することが何よりも大切です。

緑内障の新しい診断方法について教えて下さい。

 従来の緑内障の診断は、視野検査のほか、眼底の視神経乳頭のへこみや網膜の微妙な色調の変化を診察して進行の程度を判断していました。瞳を広げて眼底を観察する散瞳検査を伴うことが多く、検査後数時間は光がまぶしく感じられたり、細かいものが見えなくなるため、患者さんに不便を強いることが多くありました。
 近年完成されたOCT(光干渉断層計)では、瞳を広げずに網膜の厚さを測定し、緑内障の有無やその進行を調べられます。網膜の厚さが色分けで表わされるため、浮腫(むくみ)や神経線維の減少などを客観的に把握でき、患者さん自身も自分の目の状況を知ることができます。視野検査では判定できなかった初期段階での発見が可能になり、また、すでに緑内障を発症している人は進行具合を細部にわたり診断できるため、通院の間隔を広げたり、手術を避けられるようになりました。検査費用も初・再診料を除いて、医療費3割負担は600円、1割負担で200円と負担も少ないので、40歳を過ぎたら一度はOCTの検査を受けることをお勧めします。

2011年5月6日金曜日

目立たない矯正器具

ゲスト/宇治矯正歯科クリニック 宇治 正光 院長

矯正に対する最近の傾向について教えてください。

 全身の健康やQOL(生活の質)にとって、咬(か)み合わせが重要な役割を果たしていることが一般の方々にも認知されるようになりました。
 それによって歯列の凸凹や、上顎(がく)前突、下顎前突、さらに顎(あご)の左右のズレを気にする方が増えてきました。先日、30代の女性から「上顎前歯が出て、下顎の凸凹しているのがコンプレックス。現在矯正治療を考えていますが、装置を裏からにするか、表からにするか迷っています」と相談されました。矯正治療は決して恥ずかしいものではありません。むしろ、「大人になってからよく決断したな」と思われるのではないでしょうか。
 咬合(こうごう)の大切さを認識し、矯正治療を受けようとする前向きな姿勢を隠す必要はありませんが、人知れずに治療したいという気持ちも分かります。特に社会人で、接客業など日常的に多くの人に接する職業の人はそう考えるでしょう。また、思春期のお子さんが矯正装置を気にする心情も理解できます。そういう場合は、舌側矯正をお勧めしています。

舌側矯正について教えてください。

 歯の裏側、つまり舌側に矯正装置を入れます。表からは装置が目に付かないので、見た目にはまったく違和感がありません。ただし、内側にあることから、表側からの矯正(唇側矯正)と比較すると、発音が不明瞭、歯磨きや食事がしづらいという問題がありました。しかし、最近これらの問題点を改善した舌側矯正装置が開発されました。従来のものと比べて、非常に薄く、小さくなっています。話しづらい、食事がしにくい、舌が痛いといった、舌側矯正ならではの不快な点が、飛躍的に改善されました。人と話すことが多い職業の人や、違和感に対する不安などが理由で、今まで舌側矯正へ踏み切れなかった人にもお勧めできます。矯正治療の期間は、裏側でも表側でもそんなに違いはありません。
 歯並びをコンプレックスに感じている人は、成人でも意外に多いのではないでしょうか。心と体の健康のためにも、自身の歯並びに気になることがあったら、ぜひ一度矯正歯科医に相談してください。なお、歯科矯正は自由診療となり、費用についても個人によって異なりますので、その際に問い合わせてみるとよいでしょう。

「目立たない矯正器具」

身体を守る免疫のしくみ

ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 院長

免疫とはどのようなものですか。

 免疫とは、細菌やウイルス、がん細胞などが体内へ侵入してきたときに、それらに立ち向かい、退治してくれる仕組みをいいます。免疫には、「自然免疫」と「獲得免疫」があります。自然免疫とは、生まれたときから自然に備えている免疫のことで、その中心的役割を担うのがNK細胞、マクロファージ、顆粒(かりゅう)球や補体などです。獲得免疫に先立って発動される初期の生体防御システムで、次のような働きを受け持っています。
 まず【第一の砦(とりで)】として、①細菌やウイルスなどの侵入を皮膚や鼻、口などの粘膜が防ぐ。②切り傷や火傷の場合、傷口から細菌による二次感染を防ぐ。③NK細胞ががん細胞などの監視のため、常に体内をパトロールしている。
 次に【第二の砦】として、①細菌やウイルスなどが侵入、感染すると抗体や補体、NK細胞などが攻撃する。②パトロール中のNK細胞が、がん細胞を発見した場合、攻撃を開始する。
 そして【第三の砦】として、①顆粒球が動員され、マクロファージとともに細菌などを殺傷する。②マクロファージがT細胞のヘルパーT細胞に細菌侵入、異物の発見の信号を送る。③活性化したNK細胞が単独でがん細胞を攻撃する。

獲得免疫について教えてください。

 自然免疫は、すべての侵入者に対して同じように働き、同じ敵が繰り返し侵入しても、その効果に変化はありません。獲得免疫は、自然免疫をくぐり抜けて侵入してきた外敵に対して集中攻撃を仕掛ける免疫で、後天的に獲得されていく免疫です。いろいろな細菌やウイルスなどに感染することで身に付く免疫で、T細胞、B細胞、サイトカイン(免疫系の指揮命令を伝達するメッセンジャーであり、戦いをコントロール・教育する機能を持つ重要な働きをする)や抗体などからなります。これらが【第四の砦】として、①マクロファージとヘルパーT細胞が共同でサイトカインを放出する。②サイトカインで活性化したキラーT細胞、B細胞などが細菌や異物(がん細胞など)を攻撃、殺傷する。③細胞が抗体を大量生産するとともに、一部のB細胞などに攻撃対象の記憶が残り、免疫を獲得する、といった働きを担います。
 以上のように免疫システムは、侵入者を攻撃して私たちの体を守る防衛戦隊のようなものであり、自然免疫と獲得免疫の両免疫が状況に応じて、適切に働くことで、日々の健康を維持しているのです。

パニック障害

ゲスト/医療法人社団 正心会 岡本病院 山中 啓義 副院長

パニック障害とはどのような病気ですか。

 パニック障害はありふれた病気であり、約100人に1人が罹患(りかん)するとも報告されています。日本では、男女ほぼ同じくらいの割合で発症し、青年期(18〜34歳くらい)に発病することが多いとされています。パニック障害は、突然、何のきっかけもなく、動悸(どうき)や息切れ、呼吸困難、目まい、吐き気、「このまま死んでしまうのではないか」という恐怖感、不安感などのパニック発作が起こり、これが何回も繰り返される病気です。これらは10分以内に症状のピークに達するといわれています。その後は、おおむね30分以内、長くとも1時間以内に症状が消え去ることが多いようです。不整脈や狭心症など心臓の病気、気管支ぜんそくや過換気症候群など呼吸器の病気の症状と類似していますが、検査をしても体の異常を認められないことも、この病気の特徴です。
 パニック発作が何回も起こると、「また、あの発作が起こるのではないか」「外出先で発作が起きたらどうしよう」という不安感が常につきまとうようになります。これを「予期不安」と呼びます。さらに繰り返しパニック発作を起こした患者さんが、以前に発作を起こした場所や、発作が起きたときにすぐに助けを得られないような場所、例えば電車や地下鉄の中などを避けたり、恐れたりするようになります。これを「広場恐怖」と呼びます。このように、パニック障害には、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」という三つの症状があるのです。

パニック障害の治療法について教えてください。

 パニック障害の原因については、さまざまな研究報告がありますが、脳のある部分(大脳、大脳辺縁系、青斑核、視床下部)に通常とは違った変化が起こっているのではないかと指摘されています。特に神経化学伝達物質であるセロトニンの分泌異常が関与されていると考えられています。
 パニック障害の治療には薬物療法が有効とされており、国内でも海外でも主流となってきています。特に、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)というタイプの抗うつ薬が、第一選択薬となっています。通常、飲み始めから数週間で効果を認めることが多いようです。薬剤の効果はゆっくり現れますので、医師の指示通り、内服を継続することが大切です。
 パニック発作はつらいものですが、決して死ぬことはありません。また、発作は通常は、数分で治まります。必要以上に恐れないようにしましょう。パニック障害を放置しておくと、うつ病を合併することも多いので、思い当たる症状があれば、まず精神科・心療内科を受診して相談してみましょう。

大腸憩室(けいしつ)

ゲスト/佐野内科医院 佐野 公昭 院長

大腸憩室とはどのようなものですか。

 大腸憩室は、大腸の壁の一部が外へ袋状に飛び出しているものです。分かりやすくいうと大腸にできたくぼみです。憩室には先天的なものと後天的なものがありますが、ほとんどは後天性です。便秘や、下痢と便秘を繰り返す便通異常などで腸管内の圧力が上がり、腸管の弱い部分から粘膜が外側に膨らんだ状態が大腸憩室で、加齢により腸の壁が弱くなっていたり食生活の欧米化が原因と考えられています。
 大腸憩室があっても、多くは症状がありませんが、時に便秘、下痢などの便通異常や腹痛など、過敏性腸症候群と似た症状を起こすことがあります。原因不明の腹痛で検査をして、憩室が原因だったというケースも見受けられます。
 憩室に炎症を起こすことを憩室炎、憩室が沢山あることを憩室症と言います。
 憩室の中に便がつまるなどして憩室炎を発症すると腹痛の他に発熱や出血して下血などの症状が出現します。ひどい場合には穿孔と言って腸に穴が開いてしまい腹膜炎を起こすこともあります。高血圧や動脈硬化のある方、非ステロイド性抗炎症薬(痛み止め)やアスピリンなどの薬を服用している方は危険性が高いと言われています。

大腸憩室の治療について教えてください。

 特別な合併症がなく、無症状なら放置しておいてよいのですが、合併症を予防する意味で、できるだけ食物繊維成分の多い食事を摂取し、便通を整えることを心掛けるとよいでしょう。豆類やポップコーンなどは控えた方がよいです。憩室炎を発症した場合は、軽症の場合は食事を制限して腸の安静に努め、発熱などの症状を伴う場合は抗生物質を服用したりします。重症の場合は入院し、絶食して抗生物質を含めた点滴による治療を行います。大量の下血が持続する場合は内視鏡を用いて出血している憩室にクリップをかけて止血することもあります。腸に穴が開いてしまった場合には緊急に手術が必要になります。
 大腸憩室は、大腸がんとともに年々増加の傾向にあります。憩室の有無を確認するには、大腸の内視鏡やバリウム検査が有効です。検査を受けた時には憩室がないか確認しておくよいでしょう。将来的に憩室炎などのトラブルを引き起こすかもしれないと心にとどめておくことで、いざという時に慌てずにすみます。また、憩室が見つかった人は、腹痛や下血で病院を受診した際、憩室があると申し出ることで、診断や治療をスムーズに進めることができます。

眼瞼痙攣(がんけんけいれん)

ゲスト/大橋眼科 大橋 勉 院長

眼瞼痙攣とはどのような病気ですか

 眼瞼痙攣は、目の周りの筋肉が自分の意志とは関係なく痙攣する病気です。症状はまばたきが増えたり、まぶしさを感じたりすることから始まり、症状が重くなるとまぶたが開かなくなり、目がうまく使えない状態にまで進んでしまうこともあります。パソコンなどで目をよく使う人だけでなく、普通に生活している人にも多い病気です。はっきりとした原因は不明ですが、単純なドライアイと診断されて放置されている場合も少なくありません。
 診断は、屋内外でまぶしさを感じるか、まばたきが多いかといった点を尋ね、その結果、眼瞼痙攣の疑いが強ければ、速さや強さを変化させながらまばたきをしてもらい観察します。ドライアイなど、症状の似たほかの病気と間違わないように注意します。
 眼瞼痙攣は、50〜70歳代の、特に女性に多くみられる病気です。女性のかかる割合は、男性の約2倍といわれています。若い人の場合は薬の影響で症状が出る「薬剤性眼瞼痙攣」も考えられます。ベンゾジアゼピン系という種類の睡眠薬や抗不安薬との関係が代表的です。この場合は処方している医師と相談しながら、薬を減らしたり、止めたりできないかを検討します。

眼瞼痙攣の治療について教えてください。

 眼瞼痙攣の治療は、軽度の場合内服、改善が認められない場合は、ボツリヌス毒素を用いたボトックス治療が基本です。ボトックス治療は、ボツリヌス菌という細菌の毒素を、左右の目の周りに4〜6カ所ずつ注射する治療です。ボツリヌス菌を注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染するといった危険性はありません。投与した部位に作用して、神経の働きを抑え、筋肉のけいれんや緊張を抑えることができます。注射後2〜3日で効果が表れ、3〜4カ月持続します。
 疲れていたりすると、まぶたや目の周りがピクピクすることはよくあることです。しかし、その症状がいつまでも治らなかったり、症状の範囲が広がったりしたら、治療が必要です。眼瞼痙攣は放っておいて自然に治る病気ではありません。「ドライアイの治療を受けても治らない」「目が開けにくく外出を控えている」「まぶしくて帽子やメガネが手放せない」など目に違和感を感じたら、一度専門医に相談されることをお勧めします。

鼻から入れる内視鏡

ゲスト/やまうち内科クリニック 山内 雅夫 院長

鼻から入れる内視鏡について教えてください。

 これまで、胃内視鏡検査は口から入れる経口内視鏡を用いるのが一般的でした。しかし、最近は「経鼻内視鏡検査」という鼻から挿入する方法で検査が行われることも増えてきました。経鼻内視鏡はかなり以前からあったのですが、近年は性能が良くなり、導入する医療機関が急増しています。
 弾力性のあるしなやかなチューブで、直径は5㎜台と、一般的な経口内視鏡の9㎜に比べて細く、スムーズに挿入することができます。画像もクリアな高画質で、視野が広く、ごく小さな病変も発見することが可能です。
 経口内視鏡は挿入時、舌の付け根の舌根という部分に内視鏡が触れることで、検査の最中に「オエッ」という吐き気を催すことがあるなど、患者さんの負担が大きかったのですが、経鼻内視鏡では鼻から挿入した内視鏡は鼻腔(びくう)を通って食道に入るため、嘔吐(おうと)感や痛みもほとんどありません。また、検査中に医師と会話できることも、医師と患者さん双方にとって大きなメリットになっています。さらに、鎮静剤の使用が不必要なので、検査後ただちに車の運転なども可能です。

実際にはどのように行いますか。

 最初に鼻づまりがあるか、鼻血が出やすいかなど鼻の状態を確かめます。鼻の疾患がある場合などは、経鼻内視鏡が使用できないこともあります。前処置として、鼻腔に局所血管収縮剤をスプレーし、鼻の通りを良くして出血をしにくくします。鼻腔に麻酔薬を注入してから、麻酔薬を塗った内視鏡と同じ太さの柔らかなチューブを挿入し、鼻腔の局所麻酔を行います。これによって、内視鏡が通過するときの痛みが抑えられます。局所麻酔なので、眠くなったりすることはありません。この後、内視鏡が鼻から挿入され、鼻腔、のど、食道、胃、十二指腸と順次観察がなされ、通常数分以内に終了します。
 がんや潰瘍など、食道や胃、十二指腸などの疾患は、早期発見、早期治療が完治への近道です。「検査が怖い」「以前すごくきつかった」など経口内視鏡を嫌うあまりに受診が遅れて症状が進行していることもあります。経鼻内視鏡は患者さんの体への負担が少ないので、内視鏡が苦手でちゅうちょしている人は、一日も早く医師に相談してほしいと思います。