2011年3月16日水曜日

「尖圭コンジローマ(低リスク型HPV感染について)」

ゲスト/札幌駅前アップルレディースクリニック 工藤 正史 院長

尖圭(せんけい)コンジローマとはどのような病気ですか。
 HPV(ヒトパピローマウイルス)には、100種類以上のタイプがあり、そのうち約15種類が発がん性HPV(高リスク型)と呼ばれています。最近、子宮頸(けい)がんワクチンを接種することによって、HPVの高リスク型である16型と18型の2種類からの感染を予防できることが話題となっていますが、今回は、低リスク型HPVの感染が引き起こす「尖圭コンジローマ」という病気について説明します。
 近年、非常に増加している尖圭コンジローマ。これは特有なイボを形成する疾患で、HPVの低リスク型である6型と11型によって発症します。このHPV(6型と11型)は、主に性行為により、皮膚や粘膜にある小さな傷から侵入して感染します。コンドームの使用だけでは完全な予防はできません。潜伏期間は約3週間〜8カ月といわれています。
 尖圭コンジローマの症状は、性器や肛門の周囲にイボができます。女性の場合は、膣や子宮頸部など性器の内側にもイボが発生することがあります。イボの色は白、ピンク、褐色、黒色などで、イボの大きさも直径1〜3ミリ前後から数センチ大までさまざまです。イボは乳頭状のほか、ニワトリのとさかやカリフラワーのような状態になることもあります。
 
尖圭コンジローマの治療について教えてください。
 尖圭コンジローマは自覚症状がほとんどないため、気付かずに放置していると、大切なパートナーに感染させてしまう恐れがあります。さらに妊娠時に発症すると、出産時に産道で赤ちゃんにウイルスが感染してしまう可能性があるため、帝王切開による出産を選択することが多くなります。「もしかして?」と思ったら、くよくよ思い悩むよりまず、一日も早く専門医に相談してください。
 尖圭コンジローマの治療は、「薬を塗る治療法」と「外科的な治療法」の二つに大きく分かれます。ただし、外科的に切除しても再発するリスクが高いため、薬によってウイルス量を減らした後に切除するケースもあります。診断も治療も困難を伴うことが多く、再発率も高い厄介な病気ですが、根気よく病院に通い、治療を続けることが大切です。また、病院により、保険が適用されない場合もありますので、事前に確認するとよいでしょう。

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