2011年3月16日水曜日

「緊張型頭痛」

ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 医師

頭痛の原因について教えてください。
 頭痛に悩み、「なぜ頭が痛くなるのか」「何か悪い病気ではないのか」と心配され、病院を訪れる方が増えています。不安は痛みを増強させますので、頭痛に対する正しい理解を得ることが重要です。
 頭痛の中には「症候性頭痛」といって、脳や体の異常を知らせるサインとしての痛みがあります。症候性頭痛には、くも膜下出血や脳腫瘍など命に関わる病気が潜んでいる場合もあるので、専門医による詳細な検査が必要です。
 “頭痛持ち”と呼ばれる方の多くは、脳に病気がないのに繰り返し症状が起こります。これが日本人の約4人に1人(約3000万人)が悩まされている「慢性頭痛」で、コンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)などの画像検査でも異常は出ません。痛みの程度は人それぞれですが、寝込んでしまうなど日常生活に支障を来たすような痛みを感じるケースもあります。日本では、慢性頭痛が病気であるという認識がそもそも薄いため、周囲の理解が得られず、患者さんの苦しみが大きくなります。慢性頭痛はいくつかに分類されますが、慢性頭痛の7〜8割を占め、男女差なく最も多く認められるのが「緊張型頭痛」です。

緊張型頭痛とはどのような頭痛ですか。
 緊張型頭痛の痛みの特徴は、首や肩の凝りを伴うことが多く、よく“鉢巻きで締められているような”痛みと表現されます。後頭部に圧迫感や頭重感が生じ、鈍い痛みが続きます。原因は、長時間同じ姿勢でいることや運動不足に加えて、精神的なストレスが引き起こす背中から肩、首にかけての筋肉の緊張によるものです。例えば、1日中コンピューターに向かう職業の人に多くみられ、まさに現代病の一つといえます。
 治療は、痛みの程度に応じて、各種鎮静剤や筋肉を和らげる薬を使います。緊張型頭痛に伴う頑固な筋肉のこわばりは、過度のストレスが関わっていることが多く、リラックスを心掛けることが治療の重要なポイントになります。薬の治療に加えて、ストレッチ体操やヨガ、ゆっくりと入浴して筋肉を温めるなどの方法も有効です。
 緊張性頭痛は、患者さんのライフスタイルとの関わりが大きいため、長時間同じ姿勢でいることを避け、仕事の合間に適度にストレスを発散させる工夫をするなど、心と体のリフレッシュが治療効果を高めます。

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