2010年7月21日水曜日

「外科矯正」

ゲスト/つちだ矯正歯科クリニック 土田 康人 院長

外科手術による矯正治療について教えてください。
 反対咬(こう)合、上顎(がく)前突、上下の歯が噛(か)み合っていない開咬など顎変形症の症状がひどく、矯正治療のみでは治しきれない場合、外科手術によって治療する方法があります。下顎全体を後に下げる、上顎全体を前に出すなど、いろいろな手術がありますが、どのような手術が必要かは、患者さんの症状に合わせて選択します。顎を手術しただけではきれいに噛み合いませんので、手術前後に矯正治療を行います。矯正歯科医と口腔外科が協力し、手術前の治療に約1年、手術後に約1年、固定に約1年、合わせて3年ほどの治療期間が必要です。
 外科矯正では、顎の骨に手術を行うので、手術時には顎の成長が終了している必要があります。手術後に大きな成長があると、後から咬み合わせがずれてしまう場合があるからです。高校生以降が開始時期の目安となりますが、顎変形症のタイプや程度によって治療に最適な時期や内容が異なりますので、年齢にかかわらず、まずは専門医の診察を受けてください。

入院期間や費用などが心配ですが
 手術は口の中から行うので、傷あとが顔に残ることはありません。入院期間はだいたい2週間程度です。かつて、このような治療は高度先進医療機関に指定されている大学病院などでのみ許可されていました。しかし、現在は都道府県指定の更生医療機関などの矯正歯科医なら、口腔外科と協力して行えるようになりました。一般の矯正治療は保険診療の対象外ですが、外科治療を伴う場合はすべて保険診療対象となります。著しく噛み合わせがずれているまま放っておくと、発音や咀嚼(そしゃく)、顎関節症など機能面や健康面で問題が生じます。また、外見的にも悩まれる人が多いのも実状です。
 外科矯正は機能性の向上を求めて根本的に治療するので、噛み合わせ改善することで、自然と外見的な変化に繋がると考えられます。
 外科治療せずに顎の変形を治したい場合は、永久歯が生えてくる小学校1、2年生のうちに、矯正治療を始めることをお勧めします。ただし、状態によっては成長後の外科手術が必要になることもあります。

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