2010年5月26日水曜日

「北海道の花粉症」

ゲスト/大道内科呼吸器科クリニック 大道光秀 医師

北海道の花粉症について教えてください
 今年はスギ花粉の飛散が少なく、本州・四国・九州の花粉症はあまりひどくならずに終息しました。しかし、北海道の「花粉症」は今がピークです。道内の花粉症の原因は、主にシラカバ、ハンノキによるもので、花をつける4月下旬から始まります。さらに、カモガヤなどのイネ科の牧草やヨモギによる花粉症が9月ごろまで続きます。主な症状は、しつこい鼻水、鼻づまり、クシャミ、眼のかゆみなどです。シラカバ花粉症はスギ花粉症に比べ、鼻、眼の症状はあまりひどくはありませんが、スギ花粉症では少ない次の二つの特徴があります。一つは、シラカバ花粉症の人の約半分の人で、リンゴやモモ、サクランボなどのバラ科の果物を食べると、口の中がかゆくなったり唇が腫れたり、のどがかゆくなったりする果物過敏症があります。ひどい場合呼吸困難などになったりするので注意が必要です。もう一つは、花粉症状がおさまっても、頑固な咳(せき)が出る事です。シラカバ花粉症では気管支の粘膜が過敏な状態になり、感冒をきっかけとしてひどい咳になる事がよくあります。シラカバ花粉症の時期に咳がひどい場合、花粉症による咳か、鼻水が喉(のど)に落ちてきたための咳かを区別して治療しなければなりません。もちろんこの時期でも、肺結核、肺炎、ぜんそくの場合もありますのでその区別も必要で、胸部写真や肺機能検査を受けて適した治療を受ける必要があります。
 アレルギーを起こす原因物質は、血液検査で比較的容易に分かるので、一度検査を受けて、アレルギー物質を特定しておくと安心です。

具体的な治療、予防法について教えてください
 根本的に治そうと思うのなら、時間をかけて体質を改善するしかありませんがかなり難しいです。今現在の症状を緩和するには、抗アレルギー剤の服用、点鼻薬、点眼薬などがあります。毎年のように発症する人は、原因の花粉が飛び始める2週間程前から、予防的に抗アレルギー剤を内服すると、シーズン中の症状が軽減されます。症状が出てしまってからでも、なるべく早めに服用すると重くならないので、早期の受診をお勧めします。
 予防法としては、花粉の飛散量が多い晴れた風の強い日は外出を控えたり、外出時にマスクを装着することです。帰宅時は、家に入る前に衣類や髪、持ち物に付いた花粉を払い、手洗い、うがいを行うといった基本的なことが効果的です。晴れた日には窓を開けない、掃除機を小まめにかける、フィルター付き空気清浄機の利用などで、影響を少なくすることができます。

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