2010年2月10日水曜日

「目立たない矯正器具」について

ゲスト/宇治矯正歯科クリニック  宇治 正光  歯科医師

矯正に対する最近の傾向について教えてください。
 全身の健康やQOL(生活の質)にとって、咬(か)み合わせが重要な役割を果たしていることが一般の方々にも認知されるようになりました。
 それによって歯列の凸凹や、上顎(がく)前突、下顎前突、さらにあごの左右のズレを気にする方が増えてきました。先日、30代の女性から「上顎前歯が出て、下顎の凸凹しているのがコンプレックス。現在矯正治療を考えていますが、装置を裏からにするか、表からにするか迷っています」と相談されました。矯正治療は決して恥ずかしいものではありません。むしろ、「大人になってからよく決断したな」と思われるのではないでしょうか。
 咬合(こうごう)の大切さを認識し、矯正治療を受けようとする前向きな姿勢を隠す必要はありませんが、人知れずに治療したいという気持ちも分かります。特に社会人で、接客業など日常的に多くの人に接する職業の人はそう考えるでしょう。また、思春期のお子さんが矯正装置を気にする心情も理解できます。そういう場合は、舌側矯正をお勧めしています。

舌側矯正について教えてください。
 歯の裏側、つまり舌側に矯正装置を入れます。表からは装置が目に付かないので、見た目にはまったく違和感がありません。ただし、内側にあることから、表側からの矯正(唇側矯正)と比較すると、発音が不明瞭(めいりょう)、歯磨きや食事がしづらいという問題がありました。しかし、最近これらの問題点を改善した舌側矯正装置「STb」が開発されました。従来のものと比べて、非常に薄く、小さくなっています。話しづらい、食事がしにくい、舌が痛いといった、舌側矯正ならではの不快な点が、飛躍的に改善されました。人と話すことが多い職業の人や、違和感に対する不安などが理由で、今まで舌側矯正へ踏み切れなかった人にもお勧めできます。矯正治療の期間は、裏側でも表側でもそんなに違いはありません。
 歯並びをコンプレックスに感じている人は、成人でも意外に多いのではないでしょうか。心と体の健康のためにも、自身の歯並びに気になることがあったら、ぜひ一度矯正歯科医または経験豊富な歯科医に相談してください。

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